「セックスってなに?」に答えられない保護者が、学校と教育委員会に望むこと(千田有紀)
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注目のコメント
生物学的性差のことだよ。
社会的性差はジェンダーって言うんだよ。
ってその意味じゃない??
うーん、日本ではハレとケでいうとケの方に捉えられてるから、公で言いにくい環境になってるんだろうなって最近になって思う。
行為そのものはケなのに、子どもが産まれることについては祝福される不思議。
つまり、成功するための努力のことだよ。
努力はあんまり公言しないほうがかっこいいしね。
あれ?なんの話だっけ?性教育について、ちょっとまじめにリスクマネジメントの立場から考えてみます。
性教育によって低減できるリスクは、望まない妊娠をするリスク、性病に罹患するリスク、性犯罪に巻き込まれるリスクでしょう。
人間以外の動物にとって、性行為は生殖行為以上の目的を持ちません。性行為に快楽を感じる人間だけが、性行為に様々なファンタジー(あえてこう表現しますが)を取り込んで、独特の世界を展開しています。そして性にまつわる問題の多くは、このファンタジーの部分に由来します。性教育の本質は、人間が動物として生殖活動をする本質的な部分を理解させることにより、ファンタジーを区別させ、ファンタジーから生まれるリスクに遭遇する確率を下げ、性を通じて得られる幸福感の総和を最大化することにあります。
人間の子供は、生まれてから独り立ちするまで長期間、親の保護を必要とします。それには長期間にわたる両親の愛情がなければなりません。両親が愛情を育む手段として、人間の性行為には愛情確認の役割と肉体的快楽が与えられていますが、前述のファンタジーはこれらに由来します。
性教育の役割は、人間が生殖のために本来持っている機能と、性を取り巻く環境を理解させることにより、望ましい社会関係と人間関係について考えさせることにあります。そのため、性教育が性に対する悪い関心を引き起こすという主張には疑問があります。道徳が乱れると批判するだけではなく、性に関する人間の特性の上に、どのような社会規範を設けるのかという議論を進めることが、より建設的であると思います。今話題のセクハラ問題も、こうした議論をしてこなかった、あるいはできなかった世代が中心に発生しているというのも、あながち偶然ではないでしょう。
余談になりますが、社会問題である少子高齢化への対策には出生数の増加が必要であり、そのためには多くの性行為を経なければならないという現実を直視しなければなりません。東京の雑踏を見るたびに、これだけの人が生まれるためにどれだけ多くのお母さんがお父さんと出会い、産みの苦しみを経てきたのだろうかと考えてしまいます。性教育とは、ひいては「人間はどのような生き物なのか」を考えさせる教育だと思うのです。そこまで教えることができる教育者の育成も課題になるでしょう。