寒さによってDNAも環境に適応 その仕組みを解明―東大、東北大の研究
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「DNAが環境に適応」というのは語弊がある。単にエピジェネティックに遺伝子発現がコントロールされているということ。
低温刺激によって白色脂肪細胞が慢性的に「ベージュ化」することは興味深い発見だが、これは仕組みの全容解明とは言えないのでは。温度変化をどう検知する仕組みになっているのだろうか。
新興メディア(2006年設立)の財経新聞が頑張っていることはわかるが、「端的に書くと、白色脂肪細胞のベージュ脂肪細胞への変化の家庭に生じる」などという端的な誤植には興ざめしてしまう。
この藤沢文太氏(@TanTanKyuKyu)というフリーライターは、過去にも財経新聞に科学系記事を投稿しているようだが、
南鳥島周辺に眠るレアアースは世界需要の数百年分に―早大、東大の研究 2018年4月16日
https://www.zaikei.co.jp/article/20180416/437490.html
霊長類の嗅覚はいかにして退化していったか、東大とJSTの研究 2018年4月16日
https://www.zaikei.co.jp/amp/article/20180416/437489.html
元ネタもともかく、微妙な解説が邪魔をして中身が入ってこない。大場さんの言う通り、あまりにも解説がダメすぎる。
内容を理解していないように思える。
まず元論文はこれ
https://www.nature.com/articles/s41467-018-03868-8
「DNAが寒冷環境においてエピゲノムを生じ」
DNA自身が自発的にエピゲノムを生じるわけではなく、エピゲノムを生じさせるのは、DNAやそれを束ねるヒストンタンパク質を(脱)メチル化したりする酵素である。ちなみに本論文はDNAのメチル化ではなくヒストンタンパク質のメチル化の話であり、そもそもDNAの修飾の話ではない。
「ヒストンの持つ脱メチル化酵素のリン酸化」
ヒストン自身が脱メチル化酵素を持っているわけではなく、ヒストンを脱メチル化する酵素が別にあり、その酵素がリン酸化される、という話である。ヒストンは複数のタンパク質からなる構造体でありDNAを巻き付けて束ねる機能を持っている。今回関係するのはそのうちのH3という名前のヒストンタンパク質。ヒストンの機能は、ヒストンタンパク質自身の(脱)メチル化等によって調節される。今回の主役は、JMJD1Aと言う名前の、H3を脱メチル化する酵素。この酵素の活性は、それ自身がリン酸化されることで制御される(リン酸化されると活性化し、脱リン酸化されると不活性になるのは酵素ではよくある)。そのJMJD1Aが寒冷刺激によってリン酸化されて活性化し、複数の経路で遺伝子発現を制御するというのが発見。
「学術振興会の阿部陽平 特別研究員」
日本学術振興会は特別研究員の雇用主として所属を与えるわけではないので、通常こういう書き方はしない。つまり主たる所属は大学などであり、教授や助教などの肩書きに相当するのが「学術振興会特別研究員」である。学術振興会特別研究員の◯◯(氏名)、または、◯◯学術振興会特別研究員、という書き方が普通である。DNAが寒冷環境においてエピゲノム(遺伝子の後天修飾)を生じ、脂肪燃焼や熱産生に関わる「眠っていた遺伝子」を活性化させ、寒さへの適応を生じさせるという研究を発表した。
すごい。
エピジェネティクス今熱いな〜。
メチル化!!
アセチル化!!!!