[ワシントン 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)の高官は19日、ユーロ圏の改革は時間がなくなりつつあるが、堅調な景気回復により政策当局者の切迫感が薄らいでいると警告した。

ユーロ圏は金融危機以降で最も速いペースで成長しており、政策当局者はこの機に改革を進め、将来の不況に備えるべきと訴えてきた。

だが欧州安定メカニズム(ESM)のレグリング総裁は有力シンクタンク、ブルッキングス研究所での講演で「欧州では現在の好景気により合意が一段と難しくなっている」と指摘。「切迫感がなく慢心が強まる恐れがある」との見方を示した。

EUのモスコビシ欧州委員(経済・財務・税制担当)は別のシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所で講演し「優先度の高い課題やユーロ圏を運営していく方法についてわれわれはコンセンサスに至っていないが、時間はなくなりつつある」と述べた。

改革の主要項目で合意することは時間がたつにつてれ難しくなる公算が大きい。夏休み明けから来年5月の欧州議会選挙の準備が本格化するほか、欧州委員、欧州大統領、欧州中央銀行(ECB)総裁などの需要な人事が控えているからだ。

モスコビシ氏は「6月のユーロ圏首脳会議で必要な決定ができなければ、気勢がそがれると危惧する」と語った。

レグリング氏とモスコビシ氏は国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季総会に出席するためにワシントンを訪れている。