[ロンドン/ニューヨーク/香港 17日 ロイター] - 米商務省は16日、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)<0000063.SZ><0763.HK>がイランや北朝鮮に対し通信機器を違法に輸出していたとして、米企業によるZTEへの製品販売を7年間禁止すると発表した。

これにより、米企業はチップセットなどの対象製品をZTEに直接輸出することも、第三国を通じて輸出することも、直ちにできなくなる。

ZTEは米国でAT&T<T.N>やTモバイルUSA<TMUS.O>、スプリント<S.N>など携帯電話大手にスマートフォンを供給する一方、クアルコム<QCOM.O>やマイクロソフト<MSFT.O>、インテル<INTC.O>など米企業の製品を採用している。ZTEの製品で使用される米企業の製品の割合は全体の25─30%と大きく、今回の措置は同社に深刻な打撃を与えるとみられる。

深センに拠点を置くZTEは昨年、米国による対イラン制裁措置などに違反し、米国製品や技術をイランに輸出していたことで有罪を認め、8億9000万ドルの罰金支払いや、さらなる違反があった場合に3億ドルの追徴金を支払うことで合意していた。

ロス商務長官は声明で、ZTEが同問題を巡り、米政府に繰り返し虚偽の報告を行っていたことを指摘した。

今回の決定により、米中の貿易摩擦が一段と悪化する可能性が高い。

中国商務省は17日、ZTEを巡る問題に対し米国が法規制に従って適切に対処することを望むとの見解を示した。ZTEの状況を注視するとした上で、中国企業の利益を守るため措置を講じる用意があると言明した。

また、ZTEも17日、米国の決定について、影響を精査しているとのコメントを出した。17日の香港市場でZTEの株式は売買停止となっている。

<廃業リスクも>

米政府としてこの問題に深く関与していたハーシュホーン元商務次官は「ZTEが問題を解決できない場合、廃業に追い込まれる可能性が高い。米国外の銀行や企業でさえ、多くがZTEとの取引を望まない」と指摘した。

商務省高官がロイターに語ったところでは、ZTEは昨年の合意で、幹部社員4人を解雇し、他の社員35人については賞与減額か懲戒処分とすることを約束していた。しかし、同社は今年3月、幹部4人を解雇したものの、他の35人については賞与減額も懲戒も行っていなかったことを認めた。

商務省の命令書に引用されたZTEの書簡によると、同社は一部の懲戒措置を「完全には実行していなかった」としたほか、2017年の書簡に「誤り」があったことも認めた。

商務省の命令書は、ZTEは同社が米政府を欺く理由はないと主張したとしている。

商務省の決定を受け、ZTEに製品を供給する米企業の株価は軒並み下落した。

*情報を追加しました。