【新】なぜ「箱根のスター」は、オリンピックで活躍できないのか

2018/4/19
ついに歴史が塗り替えられた。
2018年2月25日に開催された東京マラソン。この大会で、ホンダの設楽悠太選手が2時間6分11秒で駆け抜け、実に16年ぶりに日本記録が更新された。
日本記録を更新した、設楽悠太選手(写真: NurPhoto/GettyImages)
この16年間、日本の男子長距離界は長いトンネルの中をさまよい続けてきた。オリンピックでのメダルはおろか、誰一人入賞できないこともあったほどだ。
リオデジャネイロ・オリンピックの「4×100メートル」リレーで銀メダルを獲得したり、桐生祥秀選手が日本人初の9秒台を記録したりしている短距離界とは実に対照的だ。
なぜ日本のマラソン界は、低迷していたのか。
その理由は、誰もが感動し、時に涙を流しながら応援をする「箱根駅伝」にある。
お正月の風物詩「箱根駅伝」がなぜ、マラソン界の邪魔をしてきたのか。かつて、マラソン大国と呼ばれ、古くは瀬古利彦氏や谷口浩美氏など、数々の名ランナーを世に送り出してきた日本は、なぜ弱くなったのか。
NewsPicksは、箱根駅伝のスターとして知られ、早稲田大学の監督として「大学駅伝三冠」を達成した渡辺康之・住友電工監督に話を聞いた。
渡辺監督は現在、米国のオレゴンを拠点に練習を積み、2020年の東京オリンピックで活躍が期待される大迫傑選手の育ての親でもある。マラソン界復活の処方箋から、大迫選手の実像、さらには陸上界で巻き起こる「シューズ戦争」の実態まで。
3日間の連載で、たっぷりとお届けする。

マラソン「好記録連発」のワケ