[東京 5日 ロイター] - 日銀が5日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」(第73回)によると、1年後と5年後の物価について「上がる」と回答した割合は、前回の昨年12月調査からいずれも低下した。一方、足元では、生鮮食品や原油価格の影響で物価上昇を感じる人の比率が増えた。

アンケートは2月8日から3月6日にかけて全国の満20歳以上の個人、4000人を対象に実施した。有効回答者数は2092人で、有効回答率は52.3%だった。

物価の見通しは、1年後に「上がる」と回答した人の割合が73.9%となり、前回調査の75.6%から低下。「1年後の物価は現在と比べて何%程度変化すると思うか」との質問に対する回答では、平均値が4.5%上昇、中央値が3.0%上昇となった。

5年後の物価は、「上がる」との回答が81.0%となり、前回調査の81.9%から低下した。毎年の変化率は平均値で4.0%上昇、中央値で2.0%上昇となった。

一方、現在の物価については1年前と比べて「上がった」とした割合が73.5%と、2015年12月調査(78.8%)以来の高水準となった。前回調査は67.1%だった。

これに伴い、現在の暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」と回答した割合も、前回の40.2%から41.4%に増えた。

足元の物価上昇の実感が先行きに反映されない要因について、日銀では「足元の上昇はあくまでも生鮮食品と原油価格による一時的なもの」(幹部)と分析している。

日銀は、2%の物価安定目標の実現には家計や企業などのインフレ期待の高まりが重要と位置づけており、同アンケートなどによる家計の物価見通しが注目されている。

(伊藤純夫、梅川崇)