成功する人々は読書家だ。何かの世界でトップに立つ人々は、自己改善に熱心であることが多いからだ。さらに、研究によると、読書好きの人々は寿命も長いことがわかっている。次に何を読むべきかのヒントが欲しい人は、以下にあげる名著をチェックしてみてはいかがだろうか。

ビジネスと人生での成長に役立つ21冊の本(前編)
11.『ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果』ゲアリー・ケラー、ジェイ・パパザン共著(邦訳:SBクリエイティブ)
「『それを実行すれば、ほかのすべての物事が容易になる、あるいは不要になる。そんな1つのこととはいったい何だろう』
この本はまず、この驚くほど難しい質問を投げかけてくる。そして、この質問の答えがわかるだけでなく、何より、自分にとっての『1つのこと』を成し遂げるためのプロセスを伝授してくれる。
私はつねに、複数のプロジェクト、複数のチャンス、複数の需要を同時進行させてきた。そうすることで、より多くの革新、より早い成功、より大きなインパクトを実現できると信じていた。
しかしこの本を読んで、自分が間違っていることに気づいた。むしろ、1つのことに集中すれば、すべてが可能になるのだと気づいたのだ。さらに副産物として、仕事だけでなく私生活でも成果を出すことができる。私はこの本を心から好きになり、幹部全員に1冊ずつ配った」
──フランク・タラリコ・ジュニア:グッドウィル・オブ・オレンジカウンティーCEO。グッドウィル・オブ・オレンジカウンティーはこの5年で、年間のサービス提供者が倍増。2017年には、2万7000人以上の大人と子どもにサービスを提供した。2018年は、90年超の歴史で初めて3万人に到達する可能性が高い。
12.『The Subtle Art of Not Giving a F*ck: A Counterintuitive Approach to Living a Good Life」』マーク・マンソン著(邦訳なし)
「本当に大切なことに集中するよう促してくれる本だ。人は私生活や仕事でさまざまな疑問や問題に直面するが、それらが話題になることはあまりない。この本はそうした疑問や問題を取り上げている。
人はしばしば、つまらないことに縛られ、心を乱される。この本はそれらを頭から追い出し、本当にやりたいこと、幸せな気分になることに集中するための戦略と考え方を教えてくれる。
人はどのような人生でも、生産的で健全なものに変えることができる。自分自身と自分のやりたいことに自信を持つよう勇気づけてくれる本だ」
──ピータージャン・ブーテン:営業、マーケティング支援プラットフォームを提供するショウパッド(Showpad)のCEO。同社は最近、2500万ドルの資金を調達し、世界展開の一環としてシカゴオフィスを開設した。2017年の「Inc.5000」リストで、最も成長しているヨーロッパのソフトウェア企業トップ10にランクイン。
13.『Being Wrong: Adventures in the Margin of Error』キャスリン・シュルツ著(邦訳なし)
「キャスリン・シュルツは、正しさの概念を覆し、間違えることは最高の冒険になり得ると教えてくれている。私にとっては、まず正しい答えを求めないという勇気を持ち、社会問題のユニークな解決策を考えることを意味する。
シカゴ出身の私は、マイケル・ジョーダンの有名な言葉を思い出した。『私は選手時代、9000以上のシュートを外し、300近い試合に負けた。勝利が懸かった場面で、26回シュートを外した。私の人生は失敗続きだった。だからこそ、私は成功を収めた』」
──アーロン・メダー:従業員145人超、1748億ドル以上の資産を運用するリーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIMA)のCFA、FSA、CEO。
14.『火星の人』アンディ・ウィアー著(邦訳:ハヤカワ文庫SF)
「創造性と機知に富むサイエンススリラーであり、『決して諦めてはいけない』という気持ちにさせてくれる。興味深いことに、ウィアーのデビュー作であるこの小説はもともと、99セントの電子書籍として自主出版されたものだ。起業家精神を感じずにいられないだろう」
──バリー・L・スター:企業イベントの情報を提供する企業、ウォール・ストリート・ホライズンのCEO。「金融取引統合に関するシステムと手法」の米国特許を取得している。
15.『成功の掟──若きミリオネア物語』マーク・フィッシャー著(邦訳:日本能率協会)
「第2世代人工知能(AI)技術の起業家である私は、起業を考えている人、すでに事業を始めている人は誰でも、この本にある実証されたテクニックが役立つと考えている。著者は私たちに、大きく考え続けること、遠慮せずに人を頼ること、計画通りに行かなくても恐れるべきでないことを思い出させてくれる。
私は充電の必要性を感じると、しばしばこの本を読み返す。この本には、大切な教訓が書いてある。それは、人助けが夢の実現につながるということだ。私たちはコミュニティーの一員として助け合うことで、長く強固な関係を築くことができる」
──レイン・メンデルスゾーン:3日以内の株価を86%の精度で予測する市場間取引分析ソフト「VantagePoint」を提供するマーケット・テクノロジーズのバイスプレジデント(VP)。
16.『Getting Naked』パトリック・レンシオーニ著(邦訳なし)
「あるコンサルティング企業を題材にした寓話形式のビジネス書だが、弱くなることで強さが手に入るというメッセージが込められている。
私は自分の組織に対し、私のビジョンを押しつけられるのではなく、自ら受け入れてほしいと考えている。私は従業員に対し、より多くの価値を提供する方法を探してほしいと考えている。私が正直になり、1人ではどこにも到達できないと彼らに伝えれば、彼らは私を手助けする方法を探してくれるだろう」
──アート・サックスビー:60業種超、600企業以上の経営チームを顧客に持つ戦略マーケティングコンサルティング企業、チーフ・アウトサイダーズのCEO。
17.『マル上司、バツ上司 なぜ上司になると自分が見えなくなるのか』ロバート・I・サットン著(邦訳:講談社)
「私はマネージャーの立場になってすぐ、この本をプレゼントされた。この本の要点は、あなたのチームはあなたと同じくらい優れているということだ。
計画を立て、遂行するということは、チームが後ろについていることを意味する。マネージャーは、希望の星たちを評価・支援することに時間を割かなければならない。彼らを成長させ、力づけ、活躍の機会を与えるのだ。
押すタイミングと引くタイミングをわきまえ、あとは従業員に任せればいい。同時に、一部の後ろ向きなチームメンバーが及ぼす影響を認識し、それに対処すればいい。最後に、互いを尊重できる雰囲気をつくれば、健全な議論だけでなく衝突さえも最高のアイデアにつながる」
──マイク・ウォード:国際的な電信送金企業ワールドファーストの北米法人CEO。同社は2015年以降、従業員数が2倍近くの50人まで増加した。
18.『まぐれ──投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』ナシーム・ニコラス・タレブ著(邦訳:ダイヤモンド社)
「この本は私に、べき乗則や確率という観点から機会や活動を見つめることを教えてくれた。
私はこの本のおかげで、デジタルプライバシーは消費者のニーズであり、そのニーズは満たされていないとわかった。サービスが行き届いていない市場に参入することで、われわれの会社キープセイフ(Keepsafe)は成功のチャンスをつかむことができた」
──ズハイル・ベルコウラ、写真の保管場所を提供し、6500万人以上に利用されているキープセイフの共同創業者兼CEO。
19.『Good Jobs Strategy』ゼイネップ・トン著(邦訳なし)
「われわれの会社マネージド・バイQ(Managed by Q)が誕生して間もなく、従業員が増えたので、私はスターバックスのある幹部に助言を求めた。すると彼女は(この本を)薦めてくれた。この本には、良い仕事と業務効率を組み合わせ、市場の平均を上回る利益を得るための戦略がまとめられている。
3年が経った今、この本のおかげで、私たちのビジネスは様変わりした。私たちは価値を貫きながら、従業員に力を与えられる素晴らしいビジネスを構築できるようになった。
現在、著者のトンはマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営学大学院でケーススタディーの授業を持っている。わたしも年に1度、彼女と教壇に立つことができて光栄だ」
──ダン・テラン:施設サービス提供者と企業顧客を結びつけるテクノロジープラットフォームを運営するマネージド・バイQ共同創業者兼CEO。同社は7500万ドルの資金を調達し、何千ものオフィスを管理し、1000人近くの従業員を雇用している。
20.『ヴァージン──僕は世界を変えていく』リチャード ブランソン著(邦訳:阪急コミュニケーションズ)
「ブランソンは、顧客が食いものにされている市場や、サービスが不十分な市場に、絶好の好機を見いだした。混乱に支配され、競争状態が独善的な市場だ。
私はもともとテクノロジー業界でスタートアップを経営していたが、PR業界に不満を抱き、イレブン・イレブンPR(Eleven Eleven PR)を立ち上げた。
そのため、この本はとても心に響いた。PRとはいったい何か。そして、成功の定義とは何か。こうしたことには大きな混乱が存在したし、今でも存在していると私は感じている。
この混乱が原因で、多くの企業がPRサービスの食いものにされていたため、私は状況を変えたいと思った。この本は私に、あえて負け犬になり、戦いを挑むことの大きな価値を教えてくれた。物事を起こすのに、100人の従業員や豪華な役員室は不要だと。
さらにこの本は、不測の事態に備えることも教えてくれている。起業家にとっては極めて重要なことだと私は考えている」
──サラ・モーガン:非従来型のPR企業、イレブン・イレブンPR創業者。同社は、500スタートアップスの支援を受け、前年比300%の成長を達成した。
21.『モリー先生との火曜日』ミッチ・アルボム著(邦訳:日本放送出版協会)
「私は生涯を通じて、そしてたいていは思いがけないときに、人やものに深い郷愁を感じてきた。多くの場合、きっかけは気づかないほど小さなことだ。
この本を初めて読んだときは、内容のシンプルさや、ミッチとモリーの美しい関係がきっかけとなり、私の人生に影響を与え続けている人々を思い出した。私の人生を変えたことに、気づいている人も気づいていない人もいる。
具体的には、マサチューセッツ州ブルックラインで過ごした小学5年生の記憶、ミセス・ビーティーの授業がよみがえってきた。クラス全員が知っていたことだが、彼女は理想の教師とはほど遠い存在だった。私は本当の自分をさらけ出すことができなかった。
私は20年前に戻り、恐怖におびえる5年生たちのクラスで、彼女の授業を受けている自分を想像した。自信に満ちた女性に成長した今の私は、深い感謝を述べ、彼女が無意識のうちに私のキャリアに影響を与えていることを伝えた。気づいてはいなかったが、私にとって、彼女は初めてのメンターだった。
私はこの本を読み、自分はとても幸運な人間だと思った。私はキャリアを通じて、素晴らしい人々に導かれ、メンター、ガイド、教師、そして生徒である自分に再び目を向けることができた。どこに行っても、誰と出会っても、私はそのことを忘れず、最高のメンターになる努力を続けたいと思う」
──フレダ・フルビッツ:レッドペグ・マーケティング(RedPeg Marketing)のCMO。同氏は、英国ロンドンのハバス・スポーツ・アンド・エンターテインメントで最高戦略責任者を務めた経歴も持つ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Christina DesMarais、翻訳:水書健司、米井香織/ガリレオ、写真:Vimvertigo/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.