成功する人々は読書家だ。何かの世界でトップに立つ人々は、自己改善に熱心であることが多いからだ。さらに研究によると、読書好きの人々は寿命も長いことがわかっている。次に何を読むべきかのヒントが欲しい人は、以下にあげる名著をチェックしてみてはいかがだろうか。
1.『富と成功をもたらす7つの法則』ディーパック・チョプラ著(邦訳:角川文庫)
「『毎日、新たな始まりの約束と、人生のあらゆる困難を恵みとして変容させる機会がもたらされる。1時間、1つのアイデア、愛から生まれる1つの行動が、すべてを変える可能性がある』
本書にあるこの一節は、この本から得られる力強いポジティブな気持ちをよくとらえている。これは、わたしたち誰もが現在に生き、行動し、自分の人生とまわりの人々の人生をポジティブに変えていかねばならないという気づきについての本だ。
この本がわたしに思い出させてくれたのは、誰もが自分の心から恐れと批判を追い出して、より良い判断ができるように、より創造的になれるように、そして内面の軋轢を減らして、まわりの人々と調和していかねばならないという気づきだ。
仕事と家庭という日常生活でのチャレンジは、果てしなく続くように思える。そうしたチャレンジにおいて、この本は偏りのないアプローチで、うまく舵取りしていくための優れたリマインダーとなる」
──チャド・シーセル:アメリカの高級バケーションレンタル(貸別荘)マネジメント会社、ナチュラル・リトリーツ(Natural Retreats)のCOO。同社は過去4年間に11社を買収し、350%を超える成長を示した。
2.『エンデュアランス号漂流』アルフレッド・ランシング著(邦訳:新潮社)
「これは、いわゆるビジネス書ではない。北極海で座礁した船に乗っていた冒険家シャクルトンと27人のクルーが、どうやって生き延びたかについて書かれた本だ。
シャクルトンの苦難と、スタートアップが経験する苦労がとてもよく似ていることに、あなたは衝撃を受けることだろう(あるいは、全然驚かないかもしれないが)。
冒険家たちの命を救ったのは、先行きが不透明なときに思い切った行動に出ることだったようだ。わたしは起業家の友人全員に、この本を贈りたい」
──ジャスパー・ナサニエル:栄養食品会社、リビアー(Revere)の創業者。同社は、レラー・ヒッポー・ベンチャーズなどから350万ドルを調達し、有料広告を使わずに毎月5桁(注:1万ドル以上10万ドル未満)の売り上げをあげている。
3.『あなたの生産性を上げる8つのアイディア』チャールズ・デュヒッグ著(邦訳:講談社)
「長期的な生産性と成功に関する、しばしば見過ごされているアイデアを取り上げた優れた経営書だ。
なかでも最も意義深いアイデアは、チームを構築するときには、その人たちが誰かということよりも、その人たちがどんな相互作用を起こすかに焦点を当てるべきというものだ。
たとえスーパースターを集めたチームであっても、意思の疎通がうまくいっていて、互いに信頼しあい、絶えずフィードバックのあるチームには敵わない」
──ニーブン・シェティ:記念品や贈答品に特化したショッピングサイト「ブループリント・レジストリー」(Blueprint Registry)の共同創立者兼CEO。同社は機関投資家には頼らず、わずか3年足らずで2500万ドルを超える総売り上げを記録するまでに成長した。
4.『自省録』マルクス・アウレリウス著(邦訳:岩波文庫)
「リーダーシップ、良識、倫理、あるいは謙虚さについて学べる参考書を探しているのなら、これこそ、その本だ。どうすれば自分に忠実で、外部に影響されずにいられるかを探求しているこの本から、リーダーであることの意味について多くのことを教わった」
──ジョナサン・レゲフ:フォーブスによる「30歳以下の30人(30 Under 30)」に選ばれた起業家。ヘルシーなペットフードを消費者に直販する会社、ファーマーズ・ドッグ(Farmer's Dog)の共同創立者兼CEO。同社は、2016年7月の全国発売以来、300万食分以上を出荷している。
5.『ビジョナリー・カンパニー 2 飛躍の法則』ジェームズ・C・コリンズ著(邦訳:日経BP社)
「この本をわたしは、スタンフォード・ビジネススクールにいた時に読んだ。普通とは違う考え方をするには、そして一般的なビジネスよりもずっと大きなものを狙うにはどうしたらよいかについて、とても良い視点を示してくれる本だ。
ビジネスの多くは良いビジネスだが、すばらしいビジネスではない(本書の原題は「Good to Great」)。既存の価値を打ち砕くようなビジネスを築くには、勇気と大きなアイデアを持ち、ずば抜けて有能な人をまわりに集める必要がある。
この本はわたしに、何か自分自身よりずっと大きなものを追い求めるように働きかけ、起業家精神を発揮して、ゼロから何かを創造する勇気を与えてくれた」
──シキ・モウ:美容関連チャットボット、ハローアヴァ(HelloAva)の創業者。利用者は4万人を超え、これまでにベンチャーファンドから150万ドル以上を調達した。
6.『SHOE DOG──靴にすべてを。』フィル・ナイト著(邦訳:東洋経済新報社)
「『臆病者は決して始めようとせず、弱者は道半ばで倒れる。そうして残ったのがわたしたちだ。紳士淑女のみなさん、それがわたしたちなのだ』
フィル・ナイトによるナイキ創業の物語は、本当に励みになる。ナイトは長きにわたって、実に多くの困難に直面してきたからだ。その意志の強さと粘り強さを学んだことで、わたしはスタートアップのCEOとして自分が立ち向かうチャレンジを大局的に眺められるようになった。
この本は、何かを始めるには大きな勇気が必要であり、厳しい時期にも前進を続けるには、それ以上の強さが必要であることを思い出させてくれる。最終的には、さまざまな経験を味わい、その物語を伝えられるように長く生き延びることに尽きる。わたしの心の中では、それこそが勝利だ」
──コラール・チャン:ハンドバッグを消費者に直販する会社、センリーヴ(Senreve)の共同創立者兼CEO。同社は2016年の発売以来、5度にわたって全商品を完売し、売上高は数百万ドルの規模に達する。
7.『夜と霧』ヴィクトール・フランクル著(邦訳:みすず書房)
「著書のヴィクトール・フランクルはホロコーストを生き延びた人物であり、その人生の全体を通じて、他人を助けるために力を尽くした。フランクルは卓越した神経学者であり、精神科医であり、著作家だった。歴史上最悪の残虐行為のいくつかに直面したにもかかわらず、フランクルはその心に愛だけを持ち続けた。
この本には、逆境の克服に関して説得力のある洞察がたくさん含まれている。例をあげると、フランクルはこう言っている。『わたしたちには、刺激と反応のはざまで、選択をする能力がある』
企業の創業者、リーダー、そして3度にわたってがんを患いながら生き延びた人間として、わたしは何度となく自分ではコントロールできない状況に置かれてきた。自分の置かれた状況を自覚し、自分には選択の自由があることを思い出せば、不屈の努力を続ける強さが得られる。
わたしのキャリアは、わたし自身の選択によって決まってきた。粘り強く戦うという選択が、状況を変革したのだ」
──ジル・ジョンソン:ニューヨーク市を本拠とする宝飾品ブランド、AWEの創立者でクリエイティブディレクター。
同ブランドのアンバサダーには、オリンピックに3回出場したスポーツ選手やニューヨーク・タイムズに書評が掲載されたベストセラー作家、プロのウェイクボーダー(ウォータースポーツの一種)、再建手術を受けた3日後にTEDで講演したユーチューブのスター、病気との戦いに勝って生還した人々などがいる。
8.『Enlightenment Now: The Case for Reason, Science, Humanism, and Progress』スティーブン・ピンカー著(邦訳なし)
「わたしたちはみな、深刻なまでにポジティブさを必要とする時代に生きている。働く母親として、わたしは子どもたちの未来、学校の未来、そしてビジネスの未来を懸念している。この本は、そんな気持ちを楽にするのに役立ち、人類への信頼と未来への希望を新たにさせてくれる」
──サラ・スノー:会員制のベビーシッター手配アプリ、バンビーノ(Bambino)のCMO。このアプリは、女優グウィネス・パルトロウのライフスタイルウェブサイト「グープ(Goop)」で取り上げられた。
エミー賞を受賞したテレビプロデューサーやニュースアンカー、番組ホスト、講演者、各種メディアへの寄稿者にも取り上げられている。
9.『本当の勇気は「弱さ」を認めること』ブレネー・ブラウン著(邦訳:サンマーク出版)
「われわれの会社であるカルチャー・アンプ(Culture Amp)が最も価値を置いているのは『弱さを認める勇気を持つこと』。ブレネー・ブラウンの存在を知る前に考えたものだが、彼女のほうがはるかに雄弁に語っている。
この本を薦めてくれたのは私の妻だ。弱さは弱点ではなく強みであり、信頼の基礎になると書かれている。弱さを認めることはおそらく、私がCEOとしてやってきた最も効果的なことだ」
──ディディエ・エルジンガ:カルチャー・アンプCEO。同社は、従業員からフィードバックを得るためのプラットフォームを提供しており、エアビーアンドビー、ナイキ、リフト、エスティ・ローダー、マクドナルドなどの企業が利用している。これまでに180万人の従業員が、6500万以上のアンケート調査に回答している。
10. 『HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント』アンドリュー・S・グローブ著(邦訳:日経BP社)
「私はザピアー(Zapier)を立ち上げたとき、仕事場の自律性を向上させる手段であると考え、自分の関心に集中していた。しかし、会社が成長するにつれ、人材管理の方法を学ぶ必要に迫られた。
この本は、マネジメントのあるべき姿を示したうえで、新人マネージャーが健全なチームをつくり、成功を収めるための基礎を教えてくれる」
──ウェイド・フォスター:ザピアーCEO。同社はワークフロー自動化ツールを提供しており、200万人以上に利用されている。2018年には3500万ドルの年間経常売上を記録。従業員は140人強で、全員が在宅勤務だ。
※ 続きは明日掲載予定です。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Christina DesMarais、翻訳:水書健司、米井香織/ガリレオ、写真:Vimvertigo/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.