[23日 ロイター] - <為替> 貿易を巡る緊張の高まりで世界的な経済成長が阻害されるとの懸念から、ドルが主要通貨に対し約1カ月ぶりの低水準近辺で推移した。主要6通貨に対するドル指数は0.48%安の89.427。週初からは0.9%低下している。

トランプ米大統領は前日、知的財産権侵害を理由に中国製品に関税をかける案を発表。中国商務省はこれに対し、米中間の通商関係が「危険な状態」に達するのを回避するよう米国に訴えながらも、米国の一国主義や保護主義に断固として反対する姿勢を表明した。

安全通貨とみなされる円は対ドルで一時1年4カ月ぶりの高値に上昇。終盤の取引でドル/円は0.34%安の104.9円となっている。ドルは同じく安全通貨と見なされるスイスフランに対しては0.26%安となっている。

イングランド銀行(英中央銀行)は前日、政策金利を0.50%に据え置くことを決定しているが、英中銀金融政策委員会のブリハ委員はこの日、今後数年間はおそらく毎年1、2回の利上げが必要になるとの認識を表明。今後、次回の5月会合での利上げ観測が一段と強まるとみられている。こうしたなか英ポンドは0.36%上昇した。

カナダドルも対米ドルで上昇。カナダでは原油高のほかインフレが上昇していることで、カナダ銀行(中央銀行)が向こう数カ月で利上げを実施するとの観測が高まっている。

<債券> 貿易戦争に対する懸念の高まりを背景に、不安定な取引のなか国債利回りが上昇した。

トランプ米大統領は前日、知的財産権侵害を理由に中国製品に関税をかける案を発表。中国商務省はこれに対し、米中間の通商関係が「危険な状態」に達するのを回避するよう米国に訴えながらも、米国の一国主義や保護主義に断固として反対する姿勢を表明した。

こうしたなか関税の導入により世界的な経済成長が影響を受けるとの懸念から、世界的に株価が下落。米国債は安全資産への逃避買いが入ったことでオーバーナイトの取引で上向いたが、朝方の取引ではこの先の予想を再検証する動きが出たことでやや軟調となった。

10年債利回りはオーバーナイトの取引で一時2.792%と、6週間ぶりの水準に低下。ただ午後の取引では価格は3/32安、利回りは2.843%となっている。

トランプ大統領は午後、1兆3000億ドルの包括的歳出法案に署名。同法案が成立したことで政府機関閉鎖は回避された。

<株式> 続落。ダウ工業株30種は2日間で1000ドル超下落し、主要3指数の週間の下げ率はいずれも約2年ぶりの大きさとなった。米中貿易摩擦を巡る懸念が市場心理を圧迫したほか、週末を前にリスク回避の動きが強まった。

ダウは1月26日につけた高値から11.6%値下がり。この日の終値は2月の世界株安以来の安値となる。S&P総合500種も一時主要抵抗線とされる200日移動平均に迫った。1月26日の高値からは9.9%値下がりしている。

S&P金融株の下げがきつく、3%安。

フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベットなども売られ、ナスダックを圧迫。

マイクロン・テクノロジーの下げが主導し、フィラデルフィア半導体株指数は3.3%安。マイクロンの四半期業績を受け、NAND型フラッシュメモリー価格下落を巡る懸念が高まった。

<金先物> 米中「貿易戦争」に対する警戒感などを背景に安全資産としての買いが入り、3日続伸した。4月物の清算値は前日比22.50ドル(1.70%)高の1オンス=1349.90ドルと、中心限月ベースで2月16日以来約5週間ぶりの高値を付けた。トランプ米大統領は前日、中国の知的財産権侵害に対する貿易制裁の発動を決定。最大で600億ドル規模の中国製品に25%の関税を課す見通しとなった。また、23日には主に中国を標的とした鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置も発動したことから、中国商務省は同日、米国産豚肉などに関税を課す報復措置を発表。米中が「貿易戦争」に突入する可能性が高まったことから、金が買われた。また、トランプ大統領は同日午後、議会が可決した2018会計年度歳出法案に署名したが、署名前には拒否権行使の可能性をちらつかせたため、米政府機関の閉鎖に対する懸念が一時的に強まり、金相場を下支えした。また、外国為替市場ではこれらの材料を背景にドル安・ユーロ高が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品に割安感が生じたことも、相場を押し上げる材料となった。

<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)主導による協調減産の延長観測を支援材料に反発した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物の清算値は、前日比1.58ドル(2.46%)高の1バレル=65.88ドル。6月物は1.53ドル高の65.71ドルだった。サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が前日、OPEC加盟・非加盟の主要産油国は来年も協調減産を続ける必要があると発言したとの報を好感し、相場はこの日未明にかけて堅調に推移。また、対外強硬派として知られるボルトン元国連大使の米大統領補佐官(国家安保担当)就任が決まり、対イラン制裁強化を想定した買いも入ったもよう。しかし、米国と中国が相互の製品に高関税を課すと発表し、両国が貿易戦争に突入することへの警戒感などから、早朝にはいったん上げ幅をほぼ一掃。ただ、朝方には米株相場の持ち直しなどを手掛かりに再び買いが優勢となり、ドル安・ユーロ高に伴う商品の割安感も追い風となって、原油相場は午前中いっぱい一本調子で上昇した。午後に入り、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表した国内の石油掘削リグ稼働数は計804基と前週から4基増加し、これを嫌気した売りも若干出たものの、一時的な反応にとどまった。

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