[東京 23日 ロイター] - ANAホールディングス<9202.T>傘下の全日本空輸(ANA)は23日、アリタリアーイタリア航空と提携すると発表した。アリタリアは日本からイタリアへ唯一直行便を就航しており、両国間の国際線や両国の国内線での共同運航(コードシェア)やマイレージで提携する。10月末から開始する。

日本からイタリアを結ぶ直行便は日本航空(JAL)<9201.T>が運航していたが、経営合理化のため2010年に撤退。共同運航を含めて日本の航空会社が日本―イタリアの直行便を就航するのは約8年ぶり。イタリアは日本政府が訪日客誘致で重点市場としている国の1つで、日本人にも人気の高い日本―イタリア線の観光需要を取り込む。

10月28日から、アリタリア運航便で成田―ミラノまたはローマ間を共同運航するほか、ローマ―ベネチアなどイタリア6都市、ANA運航便で成田―札幌、大阪、沖縄など日本5都市を共同運航する。

アリタリアーイタリア航空を巡っては、これまで政府や投資家による救済が繰り返されてきた。前身のアリタリア航空が08年に経営破綻。09年に民営化し、現在の社名に変更。14年にアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空による49%出資が決まったが、その後も経営難が続き、昨年、自主再建を断念。現在は管財人が経営を続け、事実上、破綻状態にある。ANAの藤村修一常務は同日の会見で、今回の提携はアリタリアへの「出資は前提としていない」と述べた。

加盟する航空連合については、全日空が「スターアライアンス」、アリタリア航空は「スカイチーム」と異なっているが、近年では迅速かつ効率的にネットワークを拡充するため、連合の垣根を超えた提携が広がっている。会見に同席したアリタリア航空の最高戦略・オペレーション執行役員、イラチ・マッシモ氏も「それぞれのアライアンスに残ったままANAと協力していきたい」と語った。

連合が異なる提携としては、16年にANAHDがスカイチーム所属のベトナム航空に出資し、共同運航などで提携。昨年は「ワンワールド」に加盟する日航とスカイチームのアエロメヒコ航空、スターアライアンスのシンガポール航空とスカイチームのエールフランスがそれぞれ共同運航を発表している。

*写真を差し替えました。

(白木真紀)