[ブエノスアイレス 20日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は20日、保護主義に対抗する決意を再確認し、貿易を巡る「一段の対話と行動」が必要とする声明を採択して閉幕した。

ただ米国の鉄鋼・アルミニウム関税導入や対中関税措置の発表が近付く中、貿易戦争を巡る懸念を拭い去ることはできなかった。

会議では成長を阻害しかねない貿易を巡る問題について話し合われたが、参加者によると、主に声明を読み上げる形で行われ、議論はなかったという。

G20の声明は「国際的な貿易と投資は成長、生産性、革新、雇用創出、発展の重要なエンジンである」とし、「ハンブルクで開催されたG20首脳会議(サミット)の成果を確認し、 一段の対話と行動の必要性があると認識する。経済に対する貿易の貢献拡大に向け取り組んでいる」とした。

財務相らが言及した2017年のハンブルク首脳宣言は「全ての不公正な貿易慣行を含む保護主義と引き続き闘う」としているが、「正当な貿易防衛制度の役割を認識する」ともしており、このあいまいさが米国に関税導入を巡る議論の余地を与えている。

ムニューシン米財務長官は、政権の関税措置がそうした正当な防衛策であることを明確にしている。

同長官はG20会議後の記者会見で「自由で公正かつ互恵的な貿易を保護するため、米国の利益を優先し行動する構えが必要だ」と発言。

「貿易戦争のリスクがある。トランプ大統領は米国の市場や経済の規模、巨額な貿易赤字を抱えていることを踏まえ、貿易戦争に突入することを恐れない姿勢を示している」と語った。

米国最大の貿易パートナーである欧州連合(EU)は、米国の鉄鋼・アルミ輸入関税への報復措置を検討している。

欧州当局者によると、貿易戦争では敗者しか生まれず、G20は世界貿易機関(WTO)での交渉を通じた紛争解決を意味する「多国間外交」を支持することで一致しているという。

イタリア中銀のビスコ総裁は、会議の合間に記者団に対し「貿易戦争は(全体としてマイナスになる)ネガティブ・サム・ゲームであることを誰もが承知している。規則に基づく多国間外交に反対する声はなかった」と指摘した。

G20は、競争的な通貨切り下げを回避するとともに、競争力強化を目的とした為替の目標設定を控えることも改めて確認。ただ為替相場を巡っては安定と柔軟性を強調する新たな文言が追加された。

声明は「強固なファンダメンタルズ、健全な政策、弾力性のある国際金融システムは為替相場の安定にとって重要で、力強く持続可能な成長と投資に貢献する。柔軟な為替相場は衝撃の緩衝材となる」とした。

声明はこのほか、ビットコインなどの仮想通貨、およびこうした通貨がはらむリスクに対する国際的な監視も呼び掛けている。

*内容を追加します。