[ニューヨーク 19日 ロイター] - ニューヨーク外為市場ではユーロが上昇した。欧州中央銀行(ECB)内の討議の焦点が債券買い入れプログラムの縮小から金利の道筋に移っているとの関係筋の話に基づくロイターの報道を受け、ECBが予想より早い時期に利上げに踏み切る可能性があるとの見方が再び台頭したことが背景。

複数の関係筋によると、ECB理事会内の最もハト派的な一角も債券買い入れプログラムは年内に終了させる必要があるとの考えに傾くなか、2019年半ばまでに利上げが実施されるとの市場の観測にECB内で違和感は感じられておらず、議論の焦点はその後の利上げがどの程度の速さで実施されるかに移っている。

マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニア投資アナリスト、チャック・トメス氏は、ECB政策担当者のいかなる変化も注視されることになるため、今回の報道でユーロ高に対する安心感が増したとの見方を示した。

終盤の取引でユーロ/ドル<EUR=>は0.46%高の1.2344ドルとなっている。

この日は、英国と欧州連合(EU)が2019年3月末の英EU離脱後の激変緩和措置である「移行期間」の導入で合意したことを受け、英ポンドが上昇。対ユーロでは約5週間ぶり、対ドルでは約1カ月ぶりの高値を付けた。

合意の下、英国は20年末までEUの政策に関する議決権は与えられないが、単一市場と関税同盟にはとどまる。前出のトメス氏は英ポンドには一段の上昇余地があると指摘。終盤の取引で英ポンド<EURGBP=>は対ユーロで0.18%高の87.95ペンス、 対ドルで0.67%高の1.4035ドルとなっている。

今週は米連邦準備理事会(FRB)が20日から2日間の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。FRBが今回の会合で利上げを決定するとの確率は市場で完全に織り込まれるなか、みずほ(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、シリーン・ハラジリ氏は「FRBは軌道から外れないと予想している」とし、「FRBは今年は3回の利上げを実施するとの見方をなお維持している」と述べた。

この日はまた、米株価が大きく下げたこともドル相場の重しとなった。主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.45%下落の89.826となっている。