デニーズはアメリカに1600あるデニーズ店舗のほとんどで、アマゾン「Alexa」での注文を可能にした。レストランチェーン各社はデジタル分野に参入し、差別化を図ろうとしている

新技術活用で若い世代に訴求

すべてのレストランチェーンがテクノロジー企業を目指している。最新の一例がデニーズだ。
デニーズは3月12日、アマゾン・ドット・コムのスマートスピーカーによる注文を開始した。アメリカに1600あるデニーズ店舗のほとんどで、音声サービス「Alexa」を利用した宅配、持ち帰りが可能になった。
あらゆる企業がテクノロジー分野への参入を急いでいるが、庶民的なダイナーの料理に最新テクノロジーは似合わない感じもする。それでも、レストランチェーン各社はデジタル時代に参入することで、老朽化したブランドイメージを一新し、若い世代に訴求しようと必死だ。
デニーズの最高マーケティング責任者を務めるジョン・ディロンはあるインタビューで「すべてのレストランブランドがデジタル空間に参入するべきだろう。われわれは皆で消費者の胃袋を奪い合っている状態だ」と述べている。65年の歴史を持つデニーズは「急速に、テクノロジー志向の企業へと変化している」。
ダンキン・ブランド・グループ傘下のダンキンドーナツも、新技術によって売り上げを伸ばそうとしている。同社の発表によれば、リワード会員は今後、スマートフォンに搭載されたグーグルの音声アシスタントで注文ができるという。「ヘイ、グーグル。ダンキンドーナツに注文したい」と言うだけでいいそうだ。
スターバックスでもAlexaとiPhoneによる音声注文が可能であり、マクドナルドも「Uber Eats」での宅配に対応している。ウェンディーズも、店内に注文用のキオスクを設置し始めている。
アップルビーズ(Applebee's)はモバイルアプリを改良し、持ち帰りのPRを強化。揚げ物やチキンウィングが冷めないパッケージも同時に導入した。タコベルやケンタッキーフライドチキン(KFC)は、フードデリバリーのグラブハブ(Grubhub)と提携し、ブリトーやフライドチキンの宅配を行っている。

宅配やテイクアウトの売上増へ

デニーズはAlexaを導入することで、ファストフードチェーンやモバイルサービスのパイオニアであるドミノ・ピザなどに対抗できるかもしれない。
すでにオンライン注文の導入は一定の成果を挙げている。2017年12月の時点で、デニーズの売り上げの8.7%は宅配と持ち帰りによるものだった。前回の数字は6.6%だ。
投資家たちは変化に気づいている。デニーズの株価は2017年、3分の1近く上昇した。料理の質を改善し、デジタルツールで若い世代にアピールしたおかげで、直近四半期には前期比2.5%増の売り上げを記録した。
ディロンは、デニーズには豊富なメニューがあるが、オンライン注文で人気のメニューとしては朝食プレート、ハンバーガー、ミルクシェイクがあると述べた。さらに、ポットローストやコブサラダ、ベジタブルビーフスープも売れているそうだ。米国内の店舗の約半数が宅配に対応しているという。
「自宅からフードデリバリーを注文したくても、ピザと限られた選択肢しかない時代があった」とディロンは話す。「われわれのブランドはライバルと比べて、本当に際立つことができるだろう」
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(執筆:Leslie Patton記者、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:Skyhobo/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.