[ロンドン 13日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国による協調減産は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の原油在庫の水準を過去5年平均まで減らすとの当初目標をほぼ達成した。しかしOPECの盟主サウジアラビアは在庫算定方法の見直しを提案しており、減産終了時期の先送りを画策しているようだ。

OPECなど産油国は2017年1月から日量180万バレルの減産を開始。国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2016年7月に過去最高の31億バレルに達していたOECD加盟国の原油在庫は、昨年12月には28億5100万バレルに減り、過去5年平均からの超過分はわずか5200万バレルとなった。

減産中もOECD諸国の5年平均の在庫水準は変動。減産合意がまとまった2016年末には約27億3000万バレルだったが、昨年9月には28億6000万バレルに上昇した。

スタンダード・チャータードの商品調査部門の責任者、ポール・ホースネル氏は「平均在庫を算出する際に供給過剰期間が多く含まれるほど目標達成が容易になる」と述べた。

しかし在庫目標の変動を受けてサウジも考えを変えた。ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、OPEC加盟国と非加盟国は2018年末に期限を迎える協調減産の扱いを考える上で、OECD非加盟国の在庫や浮体式施設での貯蔵、さらには移送中の原油なども在庫水準を判断する基準とすべきだと述べた。

ただ、こうした原油は把握がより難しい。2014年以降、OECD非加盟国の石油需要は加盟国の消費を上回っている。非加盟国の原油在庫は商用目的ではなく戦略備蓄として保有される傾向があり、透明性が低く、需給に応じた変動が起きにくい。

ファリハ氏は協調減産を早過ぎる時期に終了させるよりも、OECD加盟国の在庫が5年平均を下回るのを容認する方が望ましいとの見解を示し、あらためて減産時期の先送りを示唆した。

原油の需給が持続的な均衡状態にあるかどうかを判断する目安として、何日分の需要をカバーできる在庫量かという基準をOPECが用いる可能性がある。

原油価格が115ドル近辺を付けた2014年半ばまでの2年間、在庫は60日分を下回り続けていた。産油国が減産延長で合意した昨年11月には64日分近くだった。

ただ、米国などOPEC非加盟産油国の原油生産量が増加しており、こうした基準はOPECが減産合意の打ち切り時期を判断する上で限られた材料にしかならないだろう。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストチームは「OPECとロシアは減産の見直しを徐々に進めると示唆した方がよい」と指摘。油価が安定したら合意を終了し、初めて生産が増えるとのメッセージを送るべきだとした。

(Amanda Cooper記者)