【求人掲載】「企業内企業」=企業内"起業"メガ・ベンチャー『京セラ』

2018/3/27
多くのビジネスパーソンが大企業に対してイメージする「年功序列」、「保守的」といった風土は、そこには存在しない。企業哲学である京セラフィロソフィと、独自の経営管理手法であるアメーバ経営を礎に、若い人材が既存の枠を超えてを活躍する。

レガシー企業でありながら、メガ・ベンチャー。伝統的な大企業のイメージを正面から裏切る京セラの「企業内"起業"」とは? 今まさに最前線で活躍する3人のチャレンジストーリーと共に、紐解いていく。
誰もが経営者意識を持つアメーバ経営
──伝統的な大企業はいわゆる年功序列とか保守的とか、スピードが遅い、縦割り構造があるなどと言われますが、京セラはいかがですか。
中井:レガシー企業というと一般的には保守的なイメージでしょうか。京セラは、チャレンジなくして企業の存続はあり得ないという企業文化が根付いていますし、保守的というイメージは感じないですね。
尾上:私は6名の課に所属していますが、例えば、日々の業務で疑問があれば上司に対しても、どんどん自分の意見を進言していますよ。スタートアップ企業とかでは、よく行われているような感じですかね。
臼井:うちの課も同じですね。気付いたことはすぐに相談する。それに対して上司もしっかり聞いてくれて、必要であれば軌道修正する。積極的に意見交換しながら仕事を進める環境ですね。
尾上:逆に、後輩も私に対して「もっとこうしていきたい」といった意見や要望はビシバシ言ってきますよ。なので自分が取り組みたいことにしっかりとした意味があれば、すぐにチャレンジできる。
臼井:それが当たり前の環境なので、改めて質問されると、そんなに世間でレガシー企業と呼ばれる会社は若い人が、チャレンジできないの?って思いますね。
──保守的な風土はなく、常に挑戦している京セラにおいて一つの大きなキーワードが「アメーバ経営」ですね。
臼井:そうですね。一言でいうと、受注・製造・販売という一連のスキームに関わりのある各部門を役割毎に分割して、それぞれをあたかも一つの企業のようにする管理会計の仕組みです。
その分割された組織、アメーバごとに収益・費用を紐づけて、それぞれ利益ベースで管理してもらう。経営を任せる、と言えば分かりやすいかもしれません。それによって、経営者感覚を持った次世代リーダーを育てていく。
数名単位のアメーバが集まって課・部になりますが、それぞれの階層で係・班クラスだと、私たちの世代はもちろん、さらに下の世代でもアメーバの経営を任されています。
大きな組織だと自分が本当にやるべきことって見えにくい。京セラは、細かいアメーバに分類することで、目標も明確に出来て、PDCAのサイクルを高速に回せる、権限と責任を得られやすいので、自分たちがどこにアプローチすべきか見えやすくしています。
自ずと結果も分かりやすい。まさに全員参加型経営ですね。それは企業哲学である京セラフィロソフィの概念の上に成り立つものです。
臼井:営業も製造も、当然年間プランを立てる時に、「こうやってこれだけの利益を上げよう」とかなり緻密なプランを立てています。自分たちで考えたから、少しでもずれるとみんなに分かる。
尾上:だから、そのプランを遂行するためには、必然的に上下関係なく意見交換するのです。みんな経営者感覚になる。多くの会社が四半期とか半期にやることを僕たちは非常にショートスパンでやっている。
自分たちの努力が目に見えると同時に改善点も見える。軌道修正がしやすく働きやすいです。
年齢に関係なくプロジェクトを牽引
──所属するアメーバでは、若手中心で新規事業を担うこともあるのでしょうか。
中井:機械工具国内営業部で切削工具を担当しています。そこでは商材ごとに10個ぐらいのプロジェクトがあります。1年目から必ずどこかのプロジェクトに配属され、その商材をいかに売っていくかリーダーとして考えていく仕組み。
部を代表して、その商材の売上を上げるためにどんな商品を作るか、マーケティングやキャンペーンの手法も、どんどん先輩や上司を巻き込みながら考えていきます。
得意先を担当するのも1年目の夏頃からで、得意先とのプロジェクトも自分が担当します。プロジェクトで得意先の課題を解決できた結果、残業も減り今話題の働き方改革につながったと言っていただいたことは自慢です(笑)。
1年目から責任あるポジションで仕事ができるのも、アメーバ経営ならではかもしれませんね。
尾上:私は海外営業ですが、同じような取り組みを最近始めています。部内は商材・地域によって営業が配置されています。
しかし今後は、それのみならず商材・地域関係なく、得意先の製品や用途ごとにリーダーをつくって横断的に進めるプロジェクトが開始されました。既存の垣根を取っ払っちゃいました。
このプロジェクトでは、若手がリーダーとなり、目標を立てて戦略を立案します。私は一つの製品のプロジェクトリーダーで、取り扱う製品のシェアはまだまだ高くありませんが、それを覆そうと奔走しています。
そういう意味では、まだ経験していないのですが、一つの会社の社長みたいな感覚に近い気がします。日々もがいていますが、やりがいを感じています(笑)。
中井:人員配置の計画も自分たちで考えます。今所属しているアメーバは、所長が1名、営業メンバー2名、アシスタント1名の4名体制。今後の方針としては、売上を上げていくために営業を増員したい。
そのためにも経費を最小にして増員できる利益を確保しなければならない。毎月、目に見えるアメーバの利益とにらめっこしながら、採算確保に努力しています。
臼井:私の部署でも同世代で係の責任者が多いですね。私は利益を持っていない間接部門で、ふたりのいる営業や製造部門を支援する立場ですが、いろいろな事業部から、「こんなことやってみたいけど、どう思う?」と相談を受けることがよくあります。
そんな時、私が若いから相談しないとか、「とりあえず上司に話しといてくれる?」、といったことがないですね。年齢に関係なく、相談してもらえる。役職とかを見ているのではなくて人を見て話をしてもらってるのだなと感じますね。
尾上:世間では大きな企業の本部長ってなかなか直接話せないようなイメージがあると思うんです。でもうちの本部長は父親ぐらいの年齢ですが、とても気さくで相談しやすいんです。
もちろん厳しいことも言われますけどね、仕事以外のことでも話すことが出来るようないい関係性ですね。
中井:若手がチャレンジしやすいのはもちろんですが、風通しがよくて働きやすいことも京セラらしさのひとつだと思う。
尾上:仕事上で部門間の交流もありますしね。私は物流や工場の関連部門とよく関わります。
中井:最近では複数の部署が参加する共同プロジェクトもありますね。互いに最新の情報を共有して各部署に有益な情報を戻していくという。
臼井:必然的に各部門がクロスしないと進まないプロジェクトもある。いろいろな事業があるので、アイデア次第で可能性は広がっていくと思いますよ。
企業内起業が持続的成長につながる
──多岐にわたる事業があり、年齢に関係なくプロジェクトを牽引できる。かつ働きやすい環境であることがよく分かりました。今後、さらにチャレンジしたい目標はありますか?
中井:機械工具は世界各国に営業所があり、今後もまだまだ増やしていく方針です。入社以来、国内営業ですが、早く海外勤務を実現してもっと世界でのシェアを上げたいですね。
もうひとつは我々が扱う商材。京セラの商材にも強い商材と弱い商材があります。機械工具の市場は飽和状態に近づいている。これから事業を伸ばしていくためには、弱みをもつ商材を強くしていくことが、大切だと思います。
それにはかなりの時間と労力が必要になりますが、自分自身が先頭に立ってできる限り、「弱み」を「強み」に変えていきたい。
尾上:私の部署が扱う品目はどちらかといえばシェアの高い、言わば「強い商材」です。ただ、シェアの取れていない商材もある。私はあえて、シェアの弱い商材のプロジェクトリーダーになりました。
用途・地域に限らず、売っていくことが今の私の使命。競合にシェアを奪われている状態を打破すべく、開発も製造も巻き込んで強い意志でやっていきたいですね。
臼井:今、京セラで働いていて実感しているのは、私たちに対して仕事を任せてもらうというより、経営を任せてもらえているという感じ。
それはアメーバ経営という仕組みがあるからですが、今後は、アメーバ経営を導入しにくい、多様なビジネスも出てくると思います。
でもそれに手を出さない、チャレンジしないというのは、京セラらしくない。新たな事業を推進していけるアメーバ経営、管理会計の仕組みを作っていきたいと思っています。
企業内起業というキーワードも実感しています。元々、京セラは、セラミックの部品事業からはじまり、どんどん新しい布石を打って事業領域を拡大してきました。これからは、自分たち若い世代が新しい成長事業を創出していくことが求められていると思う。
社内では誰もがそういったマインドを持っていると思うので、あとはアイデアを実現に結びつけていけば、もっとワクワクするような会社になる。ここはそれが実現できる環境。自分はアメーバ経営を推進する立場でサポートしていきたいですね。
尾上:アメーバ経営だからこそ、一人ひとりが先頭に立ってやろうとする気概が現れるし、そのチャンスも大いにある。だから、京セラの強みは人。熱いし、アグレッシブ。それが結果として企業内起業というものになっているような気がします。
中井:変化が激しい時代。企業内起業ができなければ、京セラだけでなく、どんな企業でも存続・成長は難しいと思います。新しいものに挑戦するにはお金も時間もかかる。動かなければ事業は衰退していく。
京セラは誰もが動ける。チャレンジできます。思いの強い、熱い人と仕事がしたいですね。そういう人は仮に間違っていても、京セラでは輝いて見えますから(笑)。
(取材・文:藤村 秀樹 撮影:武田 憲久 編集:岩本 孝治郎)