[北京 8日 ロイター] - 中国税関総署が8日発表した2月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年同月比44.5%増となり、伸び率は市場予想(13.6%)を上回り、3年ぶりの大きさとなった。米国との通商関係が急速に悪化する中でも、中国および世界経済が引き続き底堅く成長していることが浮き彫りになった。

ドル建て輸入は前年比6.3%増加。伸び率は予想(9.7%増)に届かず、1月の36.9%から大幅に鈍化した。

貿易収支は337億4000万ドルの黒字。予想は6億ドルの黒字だった。黒字幅は1月の203億5000万ドルから拡大した。

中国の1、2月の経済統計は、春節(旧正月)の連休時期が毎年少しずつ異なる点に留意して読む必要があるとされる。

政府は春節に伴う季節的なゆがみをならすため、1─2月のデータも公表した。1─2月の輸出は前年同期比24.4%増加し、伸び率は昨年12月の10.8%、前年同期の4%を大きく上回った。

1─2月の輸入は前年同期比21.7%増。昨年12月は同4.5%増だった。1月は春節連休前に工場が在庫補充を急いだことによるコモディティー輸入の増加が輸入全体を押し上げたとみられ、2月にこの反動で輸入の伸びが鈍った可能性がある。

1─2月の貿易収支は黒字額が前年同期比43.6%増え、543億2000万ドルとなった。

トランプ米大統領は先週1日、鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税を導入すると表明。中国は適用対象になるとみられ、大統領は8日か9日に輸入関税を命じる大統領布告に署名する見通し。

ただ、専門家らは中国への直接の影響はほとんどないとみている。

INGのエコノミストは、中国はすでに米国への鉄鋼輸出を減らしている上、米国へのアルミ輸出は全世界向けの約10%に過ぎず、中国の輸出全体でみると少ないと指摘する。

中国の王毅外相は8日、米国と貿易戦争になった場合は必要な対応をとると表明する一方、貿易戦争はすべての国にとってマイナスとの見方も示した。

香港のANZのシニア中国エコノミスト、ベティ・ワン氏は「主要輸出先の景気が幅広く回復しており、これが2月の輸出の大幅増につながった」と指摘。ただ、対米関係の緊張が「目先の懸念要因であり、中国の貿易の下方リスクであることは間違いない」という。

2月の対米貿易黒字は209億6000万ドルで、1月の218億9500万ドルからやや縮小した。

*内容を追加しました。

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