(Bloomberg) -- 昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP、改定値)は、速報値から上方修正された。市場予想を上回った。設備投資が引き上げられたことが主な要因。内閣府が8日発表した。1月の経常収支の黒字幅は3カ月ぶりに拡大した。

キーポイント

  • 10-12月期GDPは前期比0.4%増と速報値(0.1%増)から上方修正(ブルームバーグ調査の予想中央値は0.2%増)
  • 年率換算は1.6%増と速報値(0.5%増)から上方修正(予想は1.0%増)
  • GDP全体の約6割を占める個人消費は0.5%増と速報値(0.5%増)から変わらず(予想は0.5%増)
  • 設備投資は1.0%増と速報値(0.7%増)から上方修正(予想は1.3%増)
  • 1月の経常収支は前年同月比538.1%増の6074億円の黒字(ブルームバーグ調査の予想中央値は4374億円の黒字)-黒字幅は3カ月ぶり拡大
  • 輸出から輸入を差し引いた貿易収支は同21.6%減の6666億円の赤字(予想は6955億円の赤字)-赤字は8カ月ぶり



背景

10-12月期の実質GDPは、設備投資や個人消費の増加により1989年1-3月期以来28年ぶりに8期連続のプラス成長を記録した。財務省が1日発表した法人企業統計では、GDP改定値に反映されるソフトウエアを除く設備投資が前年同期比4.7%増と市場予想を大きく上回った。

日本経済は輸出主導の景気回復を続けてきたが、1月の鉱工業生産指数は前月比で4カ月ぶり低下となった。トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムの輸入に追加関税を課す方針を発表したことで、保護主義の動きが広まることもリスクの一つだ。今年に入り、為替も円高方向の動きが目立つ。

政府は2月の月例経済報告で、景気は「緩やかに回復している」との判断を据え置いた。先行きも雇用・所得環境の改善が続き「緩やかな回復が続くことが期待される」としている。留意点として海外経済の不確実性や金融資本市場の変動を挙げた。

エコノミストの見方

  • 野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは電話取材で、設備投資と在庫が上方修正の主因と分析した。1-3月期は悪天候により個人消費が下押しされるものの、基調は「拡大継続」とみている。
  • 伊藤忠経済研究所の武田淳主席研究員は最終需要に大きな変化はなく「基本的には事前の予想通り」とした上で、「底堅い成長であるところは変わらない」との見方を示した。在庫が変動要因となっており1-3月期は「減速する可能性もある」と指摘した。

詳細

  • 公共投資は前期比0.2%減と速報値(0.5%減)から上方修正
  • 民間在庫の寄与度はプラス0.1ポイントと速報値(マイナス0.1ポイント)から上方修正
  • 貿易収支の赤字幅縮小と、第1次所得収支の黒字幅拡大が、経常収支の黒字幅拡大に寄与
    • 第1次所得収支は1月として過去最高、直接投資収益の黒字幅拡大
  • 訪日外国人旅行者数、旅行収支ともに1月として過去最大

(エコノミストコメントを更新し、詳細を追加しました.)

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