新規事業に大切な4つの視点とは?

2018/5/3

個人発だからこそできること

「個人の力」に注目している近年は、ベンチャー支援や社員の起業サポートなども積極的に行っています。そこには経済的なリターンだけを求める発想はありません。
個人の夢や想い、経験を軸としたビジネスは、一つひとつの事業規模は小さくなります。でも、だからこそ、低コスト・低リスクで、ユニークなことができ、その分遠くまで響く、と実感しています。
例えば、第1回でお話しした、豊島の「檸檬ホテル」。檸檬ホテルは瀬戸内国際芸術祭に泊まれる作品として展示公開していましたが、宿泊できるのは一日一組。その一組で400坪のレモン畑を占有します。
また、森岡督行くんと一緒に始めた「森岡書店」は、銀座1丁目の5坪で1冊の本だけを売る書店。イギリスの「ガーディアン」紙が取材したり、フランスの大手スーパー「カルフール」の経営陣6人がインタビューに訪れたりしています。韓国の文化体育観光省の方は、東京で行くべきスポットとして「森岡書店は東京スカイツリーよりも上位になっている」と言いました。
森岡書店は、私の著書『やりたいことをやるというビジネスモデル』の出版トークイベントを「Takram」で開催したおり、会場のみなさんに自分のやりたいことを書いてもらった中で、スキンヘッドの森岡くんが「1冊の本を売る本屋」を掲げたのが始まりです。
もし、これが150坪で5000万円かかっていたら、凡庸な本屋さんになっていたでしょう。