[23日 ロイター] - <為替> 米連邦準備理事会(FRB)がタカ派的な傾向を強める可能性があるとの観測からドルが主要通貨に対して上昇した。

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.12%上昇の89.847。同指数は16日には3年ぶりの低水準となる88.253を付けていた。

米国債利回りの上昇のほか、ドルの売りは過剰だったとの見方が台頭したことに加え、1月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨でFOMCメンバーがインフレや景気見通しに自信を深めていたことが判明したことなどで、ドル指数は今週は0.8%上昇した。

FRBはこの日、来週のパウエル議長の議会証言に先立ち、議会に半期に一度の金融政策報告を提出。国内経済の底堅さを踏まえ段階的な追加利上げが正当化されるとの認識を示した。

ユーロは対ドルでやや軟調。イタリアで3月4日に実施される総選挙を前に警戒感が出ている。

ニュージーランド(NZ)ドル<NZD=>も下落。米FRBが金融政策の引き締めを継続するなかニュージーランドの金利が過去最低水準にとどまるとの見方が売りにつながった。一方、カナダドル<CAD=>は対ドルで上昇。カナダの1月のインフレ率が予想ほど低下しなかったことが背景。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> このところの株式相場への警戒感や、月末需要を受け、国債価格が上昇した。

最近の株式相場変動を巡る不透明な状況や、月末を控えたポートフォリオ・リバランス化の動きが国債の追い風となった。

債券をアンダーウエートにしていた投資家らが、売りが2カ月続いた後にポジションを再調整する動きもみられた。

10年債価格<US10YT=RR>が14/32高。利回りは2.868%。21日につけた4年ぶりの高水準(2.957%)を下回った。

米国債市場は今週、過去2番目の多さだった2580億ドルという新規供給を何とか波乱なく消化したことも、債券相場を下支えした。

投資家の関心は、27日と3月1日のパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言に向かうとみられる。減税や歳出計画、インフレ上昇を背景に、景気見通しを巡る新たな手掛かりが得られるかに注目が集まりそうだ。

3月1日には1月の個人所得・消費指標が公表され、物価圧力に関するさらなる手掛かりが得られる可能性もある。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 上昇。ハイテク株の買いが膨らんだ。また、米連邦準備理事会(FRB)が公表した半期に一度の金融政策報告によって、年内の利上げ見通しを巡る懸念が和らぎ米債利回りが低下したことも追い風となった。

FRBは金融政策報告で、力強い経済成長は継続する見通しで、段階的な追加利上げが正当化されるとの認識を示した。

来週27日と3月1日に行われるパウエル新FRB議長の議会証言が注目される。

米債利回りの低下を追い風に、公益株<.SPLRCU>は2.66%、不動産株<.SPLRCR>は1.72%それぞれ上昇。

ハイテク株<.SPLRCT>は2.17%上昇。好決算を発表したヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)<HPE.N>とHP<HPQ.N>が買われ、全体の上昇を主導。HPEは2019年度末までに自社株買いと配当金支払いを通じて株主に70億ドルを還元する計画も明らかにした。HPEは10.5%高、HPは3.5%高。

ペットフードのブルーバッファロー・ペット・プロダクツ<BUFF.O>は17%急伸。米食品大手ゼネラル・ミルズ<GIS.N>が約80億ドルでブルーバッファローを買収すると発表したことが材料視された。ゼネラル・ミルズは3.59%下落した。

週足では、ダウ工業株30種<.DJI>が0.37%、ナスダック総合<.IXIC>が1.35%、S&P総合500種<.SPX>が0.56%それぞれ上昇した。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 買い手掛かりに乏しく、3日ぶりに反落した。中心限月4月物の清算値は前日比2.40ドル(0.18%)安の1オンス=1330.30ドル。週間では1.91%安となった。

この日は米長期金利の上昇が一服し、世界の大半の株式相場が上昇。投資家のリスク警戒感が緩み、安全資産とされる金塊を物色する動きが乏しかった。早朝に小幅プラス圏で取引される場面もあったが、それ以降は買い手掛かりを欠く中で軟調に推移した。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 需給の引き締まりを期待した買いなどが入り続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値は前日比0.78ドル(1.24%)高の1バレル=63.55ドル。週間では3.03%高となった。5月物の清算値は0.81ドル高の63.41ド ル。

ロイター通信によると、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相はこの日、石油市場はバランスを取り戻しつつあり、石油輸出国機構(OPEC)が主導する協調減産の効果で今年は原油在庫が減少し続けるだろうと言及。また、リビアのエルフィール油田(生産能力は日量約7万バレル)が23日、賃金交渉決裂で警備隊員らが撤退し、油田で働く従業員らも避難したため、閉鎖に追い込まれた。これを受けて、需給が一段と引き締まるのではないかとの期待が台頭した。

このほか、前日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計では、原油在庫が前週比160万バレル減と、市場の増加予想に反して減少したほか、WTIの受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫が前週比270万バレル減少したことが明らかになったことも、相場を引き続き下支えする要因となった。ただ、この日の外国為替市場ではドルが対ユーロで強含み、ドル建てで取引される原油などの商品に割高感が生じたことから、相場の上値は幾分抑えられた。