[ニューヨーク 22日 ロイター] - 米国債市場は今週、過去2番目の多さだった2580億ドルという新規供給を何とか波乱なく消化した。ただ中期的な国債増発圧力は続き、利回りをじりじりと押し上げそうだ。

背景には、昨年の減税を含む税制改革によって今後10年で財政赤字が1兆5000億ドル増える見通しになったことが挙げられる。また議会では今月、向こう2年の国防費などの歳出3000億ドル上積みも合意された。

こうした中で今週は、3カ月物と6カ月物の短期国債(Tビル)の発行額が過去最高に達するなど供給が引っ切り無しだったが、市場や投資家は比較的落ち着いた姿勢で引き受けた。

それでも財務省は相応の代償を支払った形で、Tビルの落札利回りは9年余りぶりの高水準になった。同省は財政赤字穴埋めのため今後さらに国債発行を増やす見通しで、投資家はより高い利回りを要求する公算が大きい、とアナリストは話す。

クレディ・スイスの米金利責任者プラビーン・コラパティ氏は「市場が国債を買う交換条件として(利回りが)上がるだろう。年後半になると、累積的な財政赤字が本格的に膨れ上がる」と述べた。

折しも市場では、物価上昇と米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース加速への懸念が広がっている。21日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で追加利上げの必要性に関する当局の自信の強まりが示されると、10年国債利回りは一時4年ぶりの高水準となる2.957%を付けた。

22日には今週最後の供給となった7年国債入札が実施され、落札利回りは2.839%と約7年ぶりの高水準を記録した。