Jリーグ、大学サッカーで進む「指導者の世代交代」の必然

2018/2/20
私の出身クラブでもある慶應大学ソッカー部(たまにNPでも読者から間違った指摘がありますが、正式名称が「慶應義塾体育会ソッカー部」で、ソッカーはスペルミスではないので、以後お見知りおきをお願いします!)から、うれしいニュースが届きました!
サッカー日本代表が初めて決勝トーナメントに進んだ2002年ワールドカップ(W杯)の主力選手であり、元日本代表の戸田和幸さんが、伝統の慶應ソッカー部のコーチに就任いたしました。
戸田さんと言うと、私達の世代においては、「頭を派手な赤モヒカンで飾り、闘志をむき出しにして中盤で戦うファイター」として知られています。
私より若い世代には、むしろ、「選手としての国内外での多彩な経験を生かし、豊富な知識と深い洞察に裏打ちされた、素晴らしい分析と話しぶりで有名なサッカー解説者」として知られているかもしれません。
テレビ関係者の間で、解説者としての評判がすこぶる高く、今後の指導者としての将来に大きな期待がされている逸材とも言えます。

アラフォーのリーダーが続々誕生

大学サッカーの昨シーズンが終わってから、大きな目玉となった戸田さんのコーチ就任以外にも監督交代があり、元慶應ソッカー部&Jリーガー(ザスパ草津)の富田賢さんが慶應ソッカー部を率いることになりました。
また、慶應ソッカー部の永遠のライバルであり、慶應とともに、サッカー不遇の時代より様々な面から長いこと日本サッカーを支えてきた早稲田大学サッカー部(正式名称:早稲田大学ア式蹴球部)にも、新シーズンより、元Jリーガーである外池大亮新監督が誕生しました。
年を見ると、戸田コーチが40歳。外池監督が43歳のアラフォーで、私より若干下の世代です。富田監督に至ると32歳の若さで、アラサーです。
慶應ソッカー部の前監督は、私のソッカー部先輩にあたる元Jリーガーの須田芳正さんで、アラフィフの50歳でしたので20歳近い若返りです。早稲田の方も、OBで元Jリーガーの古賀聡監督から外池監督へと、アラフィフからアラフォーへのバトンタッチです。
プロではない大学サッカーとはいえ、実力社会ですから、もちろん若ければ良いというわけではありません。しかし、いつまでも若者気分でいるアラフォーの私も、ふと気が付くと、会社では管理職であり、ビジネス界だけでなくサッカーの世界も当然のごとく、私やその下の世代がバリバリ活躍しているようでないと、組織の新陳代謝はなかなか進まないと思います。

元Jリーガーが監督、経営者に

Jリーグにおいても、私と同世代のアラフォー組が活躍しております。
パッと思いつくだけでも、当時の大学サッカー界に君臨していた元日本代表の名波浩さん(順天堂大学)がジュビロ磐田を率いています。「高校サッカー史上最強」とも謳われる清水商業高校で、名波さんのチームメートだった元日本代表の大岩剛さん(筑波大学)は鹿島アントラーズの監督です。
ユニークなところでは、清水商業高校でお二人の一つ下の後輩にあたる元日本代表の望月重良さん(筑波大学)が、J3のSC相模原のオーナー(名前貸しではなくて、クラブ経営を自ら行っている実際のオーナー)を務めています。
同じく経営者で言うと、慶應ソッカー部で私の一つ上の先輩にあたる元Jリーガー野々村芳和さん(清水商業のライバル清水東高校出身)は、北海道コンサドーレ札幌で社長を務めています。

年功序列は自然淘汰に反す

日本では儒教の影響が強く、年配の方を敬うカルチャーと、年功序列的なヒエラルキーがとても強い傾向があります。年配の方を敬うカルチャー自体は素晴らしいことで、もちろん失うべきではないと思います!
しかし、学校スポーツや会社における度を越した年功序列やヒエラルキーは、上記にあげた「自然選択(淘汰)」という、地球が誕生して以来の自然界の大ルールに反しており、組織に好ましくない結果を及ぼしかねません。
特に時代の移り変わりの早いこのご時世ですので、何よりも大事なのは、前例踏襲で精度を上げていく高度経済成長時代のやり方ではなく、世の中の早い動きに乗り遅れないイノベーションだと思います。
ビジネスであろうと、サッカーであろうと、今後生き残っていく組織は、「イノベーションを継続して起こせる」組織に違いありません。そういう意味では、イノベーションを起こすのは、あくまでも「人間」とその人間の集まった「組織文化」しかないゆえ、新しいアイデア・知見・人脈などを持った大将に若返った時に、劇的なイノベーションが起きやすくなるのは、当然の流れのはずです。
そして逆に、若返りを図った組織に対して、経験豊富で優秀な大将が率いる名門チームや企業も存在して、お互い切磋琢磨するところに、ビジネスやサッカーや人類の進歩があるはずです。ある意味、新旧対決は当然の成り行きで、ビジネスやサッカーの進歩や進化の種とも言えます。
まさにアングロサクソンがよく言う、「Change is always good!」です!

変化を恐れず、起こす側に

もちろん、人間は変化や不確実性を嫌う性質もありますから、変化を恐れる人もいるかと思います。しかし、AIやIoT時代の本格的到来で、一昔前の常識が通じなくなった今、どう見ても、変化は避けられないかと思います。
どうせ避けられない変化なのであれば、自らが変化を起こしましょう。変化に飲み込まれるから怖いのであって、変化を起こす側であれば、怖くないはずです。
私も若輩者とはいえアラフォーですので、今まで積み上げたものの上に胡坐をかくことなく、時代・世のトレンド・若者から、日々謙虚に学び、日本サッカーや日本に貢献できるように努めたいと思います!
最後に、ダーウィンの「進化論」より大自然界のルールを記します。
It is not the strongest of the species that survives but the most adaptable.
皆さん、Don’t worry!
皆さんは、生き残ることが遥かに難しかった古代から現代までを生き抜いてきた祖先の遺伝子を脈々と受け継いできた、大変優れた変化への適応者なのですから!
(写真:Press Association/アフロ)