[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米国株式市場の上昇局面ではヘッジオプションの存在が脇に押しやられていたが、先週相場の不安定さが急増したことを受けて、投資家はあらためてディフェンシブなオプション取引は貴重だと見直したようだ。

今回の相場乱高下で、昨年シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)に何百万ドルも投じていた通称「50セント」として知られる謎の投資家も、ようやく投資の効果を得られたようだ。VIXオプション取引は、株価急落に対するヘッジとして用いられる。

マクロ・リスク・アドバイザーズのデリバティブ戦略責任者プラビット・チンタウォンバニッチ氏は、顧客向けリポートで「これまでずっとVIX指数のコールオプションを買ってきた人物が、とうとう利益を得たようだ!」と指摘。同氏によると、「50セント」氏は少なくとも2017年1月からずっとこのポジションを保ち、9日時点では約1億8300万ドルの利益をあげたとみられる。

ただ、VIX指数オプションはより大規模なポートフォリオ全体に対するヘッジであるため、50セント氏も一方では大幅な損失を被っている可能性もある。50セント氏が利益確定のためポジションを手じまったかどうかは不明だ。

市場では、他にも「VIXエレファント」や「VIXホエール」と呼ばれる大規模なポジション手法を取るトレーダーも、ポジションを手じまったようだ。

それでもトレーダーたちには、オプションによるヘッジ取引を急いで増やす動きはみられない。

トレード・アラート・データ社によると、ヘッジの際によく用いられるSPDR・S&P総合500種ETFトラストと、S&P総合500種インデックスのポジションは、12日時点では価格下落リスク回避に用いられる「プロテクティブ・プット」を選ぶ投資家が多いことを示していた。

(Saqib Iqbal Ahmed記者)