現代のベストセラーとの共通性

2017年に筆者が見たビジネス書のリストでは、ほぼ例外なくティム・フェリスの『Tribe of Mentors』とトニー・ロビンズの『Unshakeable』が挙げられていた。さらに2018年1月のゲイリー・ヴェイナチャックの新刊『Crushing It』は間違いなく、今年のビジネス書リストの常連になるはずだ。
筆者が知るすべての起業家がこの本を手に取り、そこに書かれているアイデアを実行に移そうとすることだろう。しかし、もしすべての人が読んだとしたら、それはもはや特別な本ではなく、普通の本だ。
筆者は起業家としてのキャリアを始動するとき、ジェフリー・ギトマーの本を読んだことを覚えている。その本には、次のような一節があった。「新しいビジネスのアイデアがほしければ、50年以上前の本を読むといい」
正直に言うと、ギトマーは頭がおかしくなったのではないかと思ったが、この一節は頭から離れなかった。
そこで数週間後、ギトマーが薦める本を読んでみることにした。すると、その本は現代のベストセラーと共通性があり、同時にまったく違っていた。それは信じられないほどの体験だった。
あなたのライバルたちは、話題の新刊を片っ端から注文しているはずだ。そこで、あなたはあえて逆を行き、これから紹介する本を手に取ってみてはどうだろう。

「マインドセット」に役立つ4冊

1.『自己を信ず : 人生を勝ち抜くための十章』オリソン・スウェット・マーデン著(1908年、邦訳:六月社)
1908年に書かれた本が、これほどのインスピレーションを与えてくれるとは思いもしなかった。最初期の自己啓発本のひとつであり、年代を重ねるごとにその良さを感じる内容だ。ロビンズの本とともに、不朽の良書として推薦したい。考え方を変える素晴らしいきっかけになるだろう。
2.『成功哲学』ナポレオン・ヒル著(1967年、邦訳:騎虎書房)
マーケティングの天才ダン・ケネディは、ヒルが書いた本のなかで最高の1冊と評価している。明確な目標と前向きな心構えを持つことの重要性を強調しており、有名な別の著書よりはるかに読みやすい。
3.『You Can』ジョージ・マシュー・アダムズ著(1913年)
キャリアを始めたばかりの人におすすめ。人生における成功の鍵をテーマに、基本的な概念がわかりやすくまとめてある。
4.『積極的考え方の力』ノーマン・ビンセント・ピール著(1952年、邦訳:ダイヤモンド社)
ピールはポジティブシンキングの概念を広めた米国の聖職者であり、この本は自己啓発関連の講演者たちがこぞって推薦している。起業家には良いときも悪いときもある。あなたが困難に直面したとき、この本が助けになるだろう。

「セールス」に役立つ4冊

5.『富を築く技術 : 稼ぐための黄金のルール20』P・T・バーナム著(1880年、邦訳:パンローリング)
有名サーカス団を結成したことなどで有名なバーナムは「最高の興行師」と評価されていた。この素晴らしい本では、ビジネスを成功させるための20のルールを紹介している。1880年に書かれた本であるにもかかわらず、現代にも十分当てはまる。もっと稼ぐ方法が知りたい人は、まずこの本を読んでみるとよいだろう。
6.『Dynamic Selling」』ロバート・トラリンズ著(1961年)
セールスチームの教材や契約を増やすためのヒントを探している人にぴったりだ。筆者が従来型のビジネスをしていたとき、この本は営業面での頼りになるガイドブックだった。オンラインに移行してからも、とても役立っている。
7.『フランクリン自伝』ベンジャミン・フランクリン著(1791年、邦訳:岩波書店)
フランクリンはたたき上げの男だ。貧しい家庭で生まれ育ち、歴史上最も有名な人物の仲間入りを果たした。創造的で正直で、約束を守る人物だったと言われている。すべての起業家がその生きざまを学ぶべきだ。
8.『偉大なるセールスマン : あなたを変える信念の魔術』オグ・マンディーノ著(1968年、邦訳:ダイヤモンド社)
偉大なセールスマンになるための方法が書かれたポケットサイズ本。時代を超越した知恵や前向きなメッセージが詰まっている。セールスマンは何度も拒絶されるが、それを乗り越える方法を教えてくれる良書だ。

「マーケティング」に役立つ3冊

9.『科学的広告法』クロード・ホプキンズ著(1923年、邦訳:誠文堂新光社)
ホプキンズは広告の父として知られる。コピーライティングの巨匠たちはみな、この本に影響を受けたと述べている。マーケティングや広告の理論を理解したいと考える起業家の必読書だ。筆者の億万長者の友人は年1度、この本を再読している。この事実は何かを物語っているはずだ。
10.『広告コピー入門』V.O.シュワブ著(1942年、邦訳:ダヴィッド社)
小さな企業にとっては1円1円が重要だ。だからこそ起業家は、マーケティングや広告を学ぶべきなのだ。小規模企業には、出来の悪い広告に無駄金を投じる余裕はない。この本に書かれているアイデアをいくつか取り入れることで、筆者はクリックスルー率を34%上げることができた。すべてほんの小さな変化だ。
11.『伝説のコピーライティング実践バイブル : 史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269』ロバート・コリアー著(1931年、邦訳:ダイヤモンド社)
「Genius Network」をつくったジョー・ポリッシュはこの本について、小規模企業を経営する者すべての必読書だと述べている。成功事例がいくつも載っているため、上に挙げた2冊をうまく補ってくれるはずだ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Adrian Shepherd/Productivity expert and consultant、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:BrianAJackson/iStock)
©2018 Mansueto Ventures LLC; Distributed by Tribune Content Agency, LLC
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.