[東京 26日 ロイター] - 金融庁は26日、銀行カードローンに関する一部の銀行への立ち入り検査の結果を公表し、審査態勢や融資上限の設定などについて、検査を通じ一定の改善がみられたと結論づけた。金融庁は今後、モニタリングの対象をカードローンを扱う全銀行に拡大するとともに、個人の信用情報機関のあり方などを検討する。

銀行カードローン残高の急増などを受け、金融庁は2017年9月から立ち入り検査に着手。残高の多い銀行を中心に12行が検査対象となった。

1)保証会社の審査に過度に依存していないか、2)行き過ぎた融資を防止するための審査態勢が構築できているか、3)融資実行後も定期的に顧客の状況把握を行なっているか――といった点に着目し、実態把握を行なった。

その結果、検査対象となった銀行の多くが、全国銀行協会が17年3月に過剰融資抑制に向けた申し合わせを行なったことを境に、他行分を含めた融資上限枠を年収の2分の1に設定するなどの態勢整備を進めた。

申し合わせ後も手を打たなかった銀行もあったが、金融庁が検査で改善を促したことで、融資上限を検討するなど取り組みの改善に動いているという。

銀行の態勢整備に一定の改善がみられたものの、金融庁は、融資実行後の定期的な顧客の状況把握においては対応にばらつきがあり、課題が残ると指摘。顧客の相談窓口の拡充や、信用情報機関に登録される情報の精度の向上などが必要だとしている。

銀行カードローンは、貸金業法の総量規制の適用外であることから残高が急増。法曹界や政界からは総量規制の導入を求める声が出ているが、金融庁は「法改正は現時点では検討していない」(幹部)としている。

(和田崇彦)