[東京 24日 ロイター] - 日銀は24日に公表した「展望リポート(経済・物価情勢の展望)」全文(概要は23日公表済み)の中で、世界の貿易量が回復しつつあるとの見解をまとめた。リーマン・ショック後続いていた世界経済の成長率との対比で貿易量が伸び悩む状態が解消されつつあるとして、日本経済にとって好調な輸出環境が持続するとの期待を示した格好だ。

日銀はこれまで、世界経済の成長率と貿易量の伸びを比較し、リーマン・ショック前は経済成長率を上回っていた貿易量の伸びがリーマン・ショック以後は逆転、経済成長率を下回り続けてきた現象を「スロートレード」として着目し、2015年にも関連論文などを公表してきた。

今回は貿易量の伸びが昨年に入り世界経済の成長率を上回っている点に着目。要因として、1)2015-16年は弱めだったアジア諸国向け貿易量がここにきて大きく増加、2)日本から中国などアジア諸国向け資本財・半導体などの輸出が拡大、3)足元日本から中国向けに半導体製造装置や産業用ロボットなどが大きく増加している━点などを上げた。

もっとも「中国の輸入品の内製化などスロートレードの一因だった構造問題は残っている」とも指摘している。

(竹本能文)