[東京 23日 ロイター] - 日銀は23日、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表した。中期的な予想物価上昇率を前回10月の「弱含み」から「横ばい圏内」に上方修正した。為替の円安方向への動きも今後の価格上昇に作用するとの見方を示した。それでも成長率・物価の政策委員見通しの中央値は、18、19年度とも変更はなかった。2%物価目標達成時期も「19年度ころ」で据え置かれた。

物価見通しの中央値は17年度が前年度比0.8%上昇、18年度は1.4%上昇、19年度は1.8%上昇で、いずれも前回(昨年10月)時点の見通しから据え置き。レンジをみると、18年度については、下限が前回の1.1%上昇から1.3%上昇に切り上がった。

前回と変わったのは、物価目標値2%に上昇していくメカニズムの一つである「予想物価上昇率」の見方。前回は「弱含みの局面が続いている」としていたが、今回「最近は横ばい圏内で推移」と上方修正した。

また原油価格の持ち直しの影響については、前回「17年度の消費者物価のエネルギー価格の前年比を押し上げると予想される」としていたが、今回は「その影響は緩やかに減衰すると予想する」と修正。

為替相場の影響については「16年秋以降の円安方向への動きが、当面は価格上昇圧力を高める方向に作用する」として、17年度だけでなく今後も効果が続くとの見方を示した。

基本的見解は前回とほぼ同じ。 物価については、消費者物価は企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることなどを背景に、エネルギー価格上昇の影響を除くと弱めの動き、とした。

リスクバランスは、「物価については下振れリスクの方が大きい」とした。賃金上昇がパート等にとどまっていること、省力化投資やビジネス・プロセス見直しによるコスト吸収を要因として挙げた。

成長率についての政策委員大勢見通し中央値は、17年度が1.9%、18度は1.4%、19年度は0.7%成長と前回と同じだった。レンジでは、17年度は下限が、18年度は上限・下限とも切り上がった。

(中川泉 編集:田中志保)