[ニューヨーク 19日 ロイター] - 米大手金融機関のトレーディング収入が急減する中、2017年はボーナス「ゼロ」のトレーダーも出てきそうだ。

JPモルガン・チェース<JPM.N>、シティグループ<C.N>、バンク・オブ・アメリカ<BAC.N>、ゴールドマン・サックス<GS.N>、モルガン・スタンレー<MS.N>の第4・四半期の収入は、平均32%減。通年でも12%の減少となった。

市場のボラティリティーが歴史的な低水準で推移しており、顧客が取引を見送っていることが響いた。

コンサルタントや採用担当者によると、これを受け、2017年の大手金融機関のボーナスは前年を10─20%下回る可能性がある。損失を計上した部門のトレーダーは、ボーナス「ゼロ」もあり得るという。

報酬コンサルティング会社ジョンソン・アソシエーツのトップ、アラン・ジョンソン氏は「ボーナスゼロはここ数年聞いたことがなかったが、今回はあり得る」と指摘。「ボーナスゼロの人も出てくるだろう」と述べた。

特に打撃を受ける可能性があるのが、商品のトレーダーだ。顧客の取引低迷や、電力・天然ガス価格の乱高下で、多くのトレーディング会社で運用成績が悪化した。著名投資家のアンディー・ホール氏やブーン・ピケンズ氏も、エネルギー取引を手掛けるファンドを閉鎖している。

関係筋によると、ゴールドマンの商品トレーディング部門では、幹部が一部のスタッフに2017年分のボーナスがごく少額かゼロになると通知した。

同社は昨年、2200人を追加で採用したが、報酬コストは12%カットした。2017年に支給された平均報酬は32万3852ドル。これは従業員1人当たりが稼ぎ出した収益の37%に相当する。前年は38%だった。

モルガン・スタンレーの法人部門のインベストメントバンカー、トレーダーの報酬は、従業員が稼ぎ出した収益の34%に相当。前年は35%だった。

トレーダーのボーナスは、その年に稼ぎ出した収益か、その年の運用資産額の一定のパーセンテージで決まることが多かったが、こうした制度ではリスクテイクが奨励されることになるため、現在はリスクを調整した、より裁量度の高い報酬制度が増えてきているという。