スペースＸに打撃か－機密軍事衛星打ち上げ後に行方不明

(Bloomberg) -- イーロン・マスク氏率いるスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ（スペースＸ）が打ち上げた軍事衛星は、軌道に乗る前の異常で海に落下したとみられている。マスク氏のロケットプログラムに打撃となる可能性がある。

スペースＸのロケット「ファルコン９」は７日、「ズマ」というコードネームの機密の積載物を搭載し、フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地の発射台から打ち上げられ成功したたように思われた。しかしその後、米戦略軍は新たな衛星を追跡していないと指摘。衛星が何らかの理由で正常に配備されなかった可能性が示唆された。

スペースＸのグウィン・ショットウェル最高執行責任者（ＣＯＯ）は電子メールの声明で、「これまでの全データを見直したが、７日夜にファルコン９はすべて正常に作動していた。当社または外部の追加調査で違う結果が判明した場合、直ちに報告する方針だ」と表明した上で、「積載物の機密性のため、これ以上のコメントはできない」と説明した。

事情が非公開だとして米議会関係者の１人が匿名を条件に語ったところによると、衛星は行方不明になっている。もう１人の議会関係者によれば、衛星と２段目のロケットが共に海に落下したという。スペースＸのツイートでの議論によれば、ズマ衛星の切り離しに失敗した可能性があり、その場合失敗は打ち上げシステムとは関係がなかった公算が大きい。

原題：SpaceX Dealt Blow as Secret Military Satellite Goes Missing (1)（抜粋）

--取材協力： Richard Clough

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コメント

注目のコメント

• 小野 雅裕

  NASA Jet Propulsion Laboratory 技術者・作家

  ・2018年01月11日

  記事にある通り機密ミッションなので情報がほとんどないのですが、できる限りの解説をば。
  
  失敗は失敗ですが、責任がどちら側（ロケット側か衛星側か）にあったかという問題です。噂によると第2段と衛星の分離が失敗したとのこと。で、分離はSpaceXのロケット側ではなく、衛星側の担当だったみたい。したがってSpaceXが責任を負う部分に関しては全て問題なし、ということです。
  
  で、往々にしてロケットは衛星を近地点がかなり低い楕円軌道に投入します。この軌道では近地点を通るたびに空気抵抗で減速し、早晩地球に落ちます。逆にこうすることでロケット上段がデブリにならずにすみます。で、遠地点で「アポジモーター」という衛星側のスラスターを噴射して近地点を上げて、地球を回り続ける軌道に載せます。そこは衛星側の担当です。衛星が第２段と分離できなかったので、ロケットと一緒に落ちてしまったのですね。
  
  もし以上が本当なら、記事タイトルにあるような「SpaceXに打撃」とはならないでしょう。Falcon Heavyにも影響は殆どないはず。もちろん、情報がないので確かなことは言えませんが。
• Saitou Kazuhiro

  U of Michigan 教授 (機械工学), 副学科長

  ・2018年01月11日

  困りますねぇ、誰かに拾われちゃったら
• Hirukawa Toshihiro

  総合化学メーカー 資材購買 兼 スポーツマン

  ・2018年01月11日

  小野さんのコメント、いつもながら大変勉強になります。
  「アポジモーター」ってスーパーロボット大戦では、ガンダムやマジンガーなどの、機体の移動力や運動性能を上げてくれる装備アイテムだったかなぁ、なんてことを思い出しました。