1つ1つは小さく目立たない行動の変化であっても、他の人からの敬意を得るのに大きな影響力をもつかもしれない。効果が実証されている33の習慣のうち、前編では17項目を紹介する。

あなたは仕事に何を求めるか

人は仕事に何を求めるのだろうか。最近のアンケート調査によると、お金や利益、あるいは雇用の安定よりもはるかに、敬意をもって扱われることを望んでいるのだという。
あなたもそう思っているのであれば、職場でいま以上の敬意を払ってもらうにはどうすればよいのだろうか。いくつかの決まった習慣を育てることで、一緒に仕事をする人たちに日々敬意をもって接してくれるよう促すことが可能だ。
以下に、効果が実証されている33の習慣をご紹介しよう。ぜひ身につけて役立ててほしい。これらを実践または参考にすれば、たちまち変化を実感するだろう。
1. 意見を言う
自分の考えを相手に伝えない限り、得るべき評価も尊敬も得られはしない。自分の意見を口に出す訓練をすること。これをリストの第一に掲げよう。以下に紹介するどんな習慣も、まずは、自分が敬意を払われるに値する人間だ、と自分で思わなくては始まらない。
2. 礼儀正しく振る舞う
他の人に敬意を払う人間が、相手にも同じ態度を期待するのは当然のこと。まずは、互いに敬意をもって接する関係性を打ち出そう。そもそも社会が礼儀を規範としているのはそのためだ。
同時に、その逆の態度が招く結果も覚えておくといい。礼儀を欠き、他の人に威張り散らす人間は往々にして、相手からも敬意を欠いた態度を示されることになる。
3. 用があるときはアポイントを取ってもらう
他の人に敬意を払ってもらいたければ、自分の時間も尊重してもらおう。同僚が自分に用があるのなら、その用件に責任を持たせるのだ。
同僚がこちらの時間を求めてくる場合、アシスタントや受付係にスケジュールを管理してもらうか、それが無理ならデジタルカレンダーを共有しよう(ただし、共有カレンダーを使うにはいくつか重要なコツがあり、それを次の第4~7項目で説明する)。
4. 自分の予定を先に入れる
上の項目3で、スケジュール管理を自分でやることを選択した場合は、自分を最優先することが肝心。最初に、自分が必要とする時間をすべて予定に組み込んでしまおう。
そこは妥協せず、残った時間だけを他の人に割けばいい。カレンダーにどんな予定を入れようと、他の誰にも言い訳する必要はないのだ。自分の時間を先に確保してしまえばいい。
5. カレンダーの表示をデフォルトでプライベートに設定する
あなたが「予定あり」の時間に何をしていようが、他の人には関係のないことだ。共有カレンダーを使うことにした場合、すべての予定のデフォルト設定を「プライベート」にしよう。
そうすると、ほとんどの時間枠が他の人には「予定あり」と表示されるが、その時間がなぜ埋まっているのか、いちいち説明する必要はない。
6. アポイントの時間枠をデフォルトで15分に設定する
たいていの話し合いは15分もあれば十分なのだが、カレンダー上でアポイントの時間枠の長さをデフォルト設定していないと、相手は当然のように必要以上の時間を取ろうとしてくる。
ただし、もちろんこの設定は変更可能で、上司が1時間ほしい場合には、1時間のアポを入れられる。それでも、デフォルトの時間を設定することにより、非常に実際的なやり方で、他の人に自分の時間を尊重するよう促すことができる。
7. 仕事以外の予定をカレンダーに入れる
週に数回、午後6時に退勤してジムへ行く日がある。あるいは、午前9時より早く着くバスでは出勤しない。そうした予定についてはカレンダーに組み込もう(プライベートモードで)。そうすれば、出勤前や退勤後に他の人がミーティングの予定を入れることはない(カレンダーの話はここまで)。
8. 相手の名前を覚えて呼ぶ
一緒に仕事をする人たちの名前を覚えて呼ぶことを心がけよう。それは、彼らへの敬意を示す行為であり、自分への親しみを感じてもらう効果もある。相手もこちらの名前を覚えてくれるし、呼び返さなくてはという気になる(実際そうしないと非常にバツが悪い)。
9. 敬称を使う
それが不自然または不適切な場合は無理に実行する必要はないが、よく知らない相手に対しては、下の名前ではなく名字で「~さん」「~様」と敬称をつけて呼ぼう。一般的に、このような形で敬意を伝えることは関係性のトーンを定め、相手からも敬意を払ってもらうのに役立つ。
10. 計画を立てる
「自然は真空を嫌う」ように、リーダーには空き時間というものが存在しない。人生の優先事項を定め、その実現に取り組んでいると周囲に知らせていない場合には、他の人がたやすく自らの優先事項を押しつけようとしてくる。
そうならないために計画を立てよう。戦略を明らかにしよう。空白を埋め、自分のアイデアを、他の全員が取り組む計画に変えよう。これは仕事にもプライベートにも使える方法だ。
11. 「異議を唱えろ、そして全力を尽くせ」(ただし、そういう言葉は使わずに)
「異議を唱えろ、そして全力を尽くせ(disagree and commit)」は、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが使う表現だ。
言い回しはなんでも構わないが、とにかく、たとえ確信が持てない計画でも、いちど実行に同意したなら力を尽くし、信頼できる人物だという評価を得よう。何かをやると約束したら、最後までやり通すのだ。
12. 進んで質問する
自分のキャリアの未来を、誰か別の人の計画にコミットするなら、自分自身に敬意を払い、計画についてしっかり質問しよう。自分は御しやすい相手ではない、おとなしく言いなりになるタイプではないことをアピールするのだ。
それに、ミーティングの席で誰かが質問をしたら、その場にいる全員がその答えを知りたがっていたなどということもよくある話だ。
13. 意見を言う前に、相手を評価する
ちょっとした「心の知能(感情的な知能)」を発揮して、自分がこれから表明する意見が、それまでの会話の流れに沿ったものであることを示そう。具体的には、何かを言うとき、自分の前に発言した人をほめるのだ。
相手の功績を認めることで、彼らの敬意を得ることができる。たとえば「まったく君の言うとおりだ、ジョン。そして、いまの意見を聞いて、また別の検討すべきことを思いついた……」という具合だ。
14. 「ありがとう」と言う
シンプルかつ基本的な礼儀の表し方だ。わずか一言で、さりげなく自分の姿勢を伝えることができる。無礼な態度をあらわにする人は、敬意を欠いたやり取りを引き起こすが、感謝の言葉はそうしたやりとりを防ぐ方法の1つだ。
15. 「どういたしまして」と言う
これは筆者自身も取り組んでいる習慣なのだが、敬意を払ってもらいたければ、礼を言われたときに「なんでもないよ(No problem)」などと返さず、「どういたしまして(You're welcome)」と言おう。「どういたしまして」には、自分が感謝に値するようなことをした、ひいては自分が敬意に値する人間だという意味合いが含まれる。
16. 複数のメールアドレスを使い分ける
メールアドレスは、私用に少なくとも1件、仕事用に1件または複数持つようにしよう。こちらの都合に合わせて相手と連絡が取れるようにするためだ。アドレスを使い分ければ、相手の都合に振り回されて、あれやこれやの要求に、いつ何時でも応じなくてすむ。
17. メールのラベルやフィルター機能を使う
メールアドレスを使い分けるにはもう遅い? そんな人でも大丈夫。自分のメールアカウントにラベルやフィルターを設定すれば、メッセージをふるい分け、返信に優先順位をつけられる。相手ではなく自分のスケジュールに合わせて返信する習慣を実践し、相手を慣れさせよう。
※ 続きは明日掲載予定です。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Bill Murphy Jr./Executive editor of operations, Some Spider, and founder, ProGhostwriters.com、翻訳:高橋朋子/ガリレオ、写真:Peshkova/iStock)
©2017 Mansueto Ventures LLC; Distributed by Tribune Content Agency, LLC
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.