DJ-バーナンキ議長、景気回復に楽観的見通し示す
2014/01/04, ダウ・ジョーンズ
【フィラデルフィア】米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は3日、住宅バブル崩壊と財政引き締めの悪影響が薄れたため、米経済の回復は今年勢いづくはずとの見通しを示した。
今月末に退任するバーナンキ議長は、米国と世界の成長見通しについて、慎重ながらも楽観的な見解を明らかにした。ここ数年、連邦単位でも州単位でも財政政策が成長を抑えてきたが、今年と来年はそうした足かせが少なくなる可能性が高いと思われると語った。
欧州の債務危機や融資基準の厳格化、米国の大量な個人負債を減らす動きなど、経済成長を抑えてきた他の要因も後退したと指摘した。
当地で開催された米国経済学会の年次総会で講演したバーナンキ議長は、「金融の回復と住宅市場の均衡が増したこと、財政の抑制が薄れ、言うまでもなく緩和的金融政策が続いていることが相まって、今後数四半期の米経済成長にとって良い兆しとなっている」と語った。
また、欧州での金融と財政の改革をはじめとして、諸外国の経済成長も回復すると考える理由があると指摘した。
さらに、12月に行った債券買い入れ措置を縮小する判断は、雇用の見通しが改善した結果だと語った。そして、経済成長促進を目的としたこの他の金融緩和政策をFRBが解消するという意味ではないと述べた。
毎月の債券買い入れ額を850億ドルから750億ドルに減らしたのは、「必要な限り極めて緩和的な金融政策を維持する姿勢が少しでも薄れたことを示してはいない。むしろ、労働市場の展望における実質的な改善という目標に向けて前進したことを反映したものだ」と話した。
また、2008年の金融危機以降、長期借入金利の引き下げを目的とした数兆ドルもの債券買い入れなどFRBの異例な政策が、米経済を支えてきたのだと主張した。
期待はずれな弱い景気回復こそがFRBの金融政策が失敗だった証しだとする向きに反論し、「金融政策の実質のともなった支援なしには、経済成長は著しく弱いものだったか、マイナスにさえなっていた可能性が高い」と語った。
議長はさらに、FRBの大量な債券買い入れと先行きの政策経路を伝えることが、「景気回復を促した」ことを大半の調査結果が示している、と述べた。
この学会に出席した数人のエコノミストも、議長の評価に同調した。シカゴ大学のアニル・カシャプ教授は「(当時は)世界大恐慌第2弾にかなり近づいていた。彼(バーナンキ議長)の指導力がなければ、事態はかなり大幅に違っていた可能性がある」と述べた。ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、金融危機に対処する方法を迅速に考え出すFRB高官らの「たぐいまれな創造性」には感銘を受けたと語った。
だが、FRBに批判的な向きは、FRBの政策には効果がなく、次の危機の種をまいている可能性もあるとし、FRBが短期金利のまた引き上げ始めるときには、資産バブルや過度のインフレをあおることになりかねないと主張している。
バーナンキ議長は、消費や投資、雇用を促すFRBの政策に対し、政府の歳出削減と増税が逆風として働いたとの考えを示した。「財政と金融の政策が反対方向に作用し、回復があるべき姿よりも弱いものになっている」と述べ、米政府が当面の財政赤字削減に注力していることに対する自身の批判を一歩進めた。
そして、短期金利をゼロ近傍に据え置いている08年暮れ以降のような状況においては、こうした財政と金融の政策が相いれないことは特に大きな問題だと語った。議長は、金利がゼロ近傍の場合、FRBの金融政策は効果が薄れるが、議会にはより多くの政策余地があるだろうと述べた。
議会上院は週明け6日、ジャネット・イエレンFRB副議長をバーナンキ議長の後任として承認する採決を行う。新議長は2月1日に正式就任する。
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