【現場報告】米国のエルサレム首都承認、パレスチナの怒りと無力

2017/12/27
大きく揺らぐパレスチナ情勢。中東情勢に詳しいマンスリープロピッカーの大野元裕氏(参議院議員、中東調査会客員研究員)が現地を訪問した。

米国への怒り、打開策見えぬ無力感

ドナルド・トランプ米大統領が、イスラエルの首都をエルサレムと認め、アメリカの在イスラエル大使館の同地への移転を決めた。
パレスチナ情勢が流動化している。
そもそもエルサレムは、イスラエル建国に伴う紛争に際し、国連がイスラエルとパレスチナのいずれにも属さない特別な地位を与えた。双方の主張や、戦争に伴うイスラエル側の実効支配にもかかわらず、国際社会はエルサレムを首都と認めてこなかった。
今回の米大統領の決定は、アメリカ国内のユダヤ層向けの色彩が強いとはいえ、その影響は大きい。
筆者は2017年12月初めにパレスチナを訪れたが、現地には絶望と諦観、憤怒の感情が渦巻いていた。こうした感情がパレスチナ問題にとって転機になるか、考えてみたい。