[ワシントン 15日 ロイター] - 米議会共和党は15日、税制改革法案・最終案の概要を発表した。法案は企業や富裕層、一部の中間層に対する減税が中心。記者団に配布された概要文書によると、企業税制では法人税率を現行の35%から21%に引き下げる。

中小企業、個人事業主やパートナーシップなどのパススルー企業の税控除は20%とする(訂正)。

米国企業が今後、海外で得た利益の大半について非課税とする。また、米国企業が海外に留保する利益を米国に戻す際に1回限りの課税を行い、税率は現金・流動資産で15.5%、固定資産で8%とする。

個人税制では、所得税の税率区分について現行の7区分を維持する。税率は納税者の所得に応じ、10、12、22、24、32、35、37%とする。これによって、高額所得者に対する最高税率は現行の39.6%から37%に引き下げられることになる。

最終案を巡っては、態度を保留していた共和党上院のルビオ議員とコーカー議員が支持を決め、可決に一歩近づいたものの、同党のコリンズ、フレーク、リーの上院議員3人はまだ支持を表明しておらず、先行きは依然不透明だ。

入院中のマケイン上院議員(共和党)は早期の復帰を目指すとしている。上院議長を兼ねるペンス副大統領は法案採決のため、中東訪問を延期した。

下院での採決は19日、上院はその後に採決を予定している。下院では共和党の議席が過半数を大きく上回るため、法案は可決される見通し。法案は上院に送られるが、共和党から3人以上の造反者が出れば、法案は可決できない。

民主党議員は、税制改革法案は企業と富裕層に過度の恩恵をもたらし、政府の赤字を拡大させるとして、結束して法案に反対する構え。

両院で可決されれば、新たな税制は2018年から適用される。

税制改革法案は、今後10年で少なくとも1兆ドルの債務増加につながると見込まれている。財政赤字に陥り、経済がすでに成長過程にある中で、景気支援に向けた減税を行うのは異例といえる。

共和党は今回の税制改革で遺産税の廃止は断念したものの、非課税枠を現在の1人あたり500万ドルから1000万ドルに拡大することを提案した。

また現在の税制では、プライベート・エクイティ(PE)のファンドマネジャーなどは、1年以上の投資からの成功報酬(キャリードインタレスト)について所得税より税率が低いキャピタルゲイン税の適用が認められているが、改革案ではこの優遇措置を維持しつつ、3年以上の投資を適用要件とすることで対象者を制限した。

*本文2段落目の「パススルー企業に課す税率は20%とする」を「パススルー企業の税控除は20%とする」に訂正します。