[シドニー 14日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が14日発表した11月の雇用統計では、就業者数が前月比6万1600人増加し、予想の1万8000人増を大きく上回った。

2年以上ぶりの大幅な増加で、増加は14カ月連続と、1990年代初め以降最長。

失業率は5.4%で前月と変わらず。2013年2月以来、ほぼ5年ぶりの低水準にとどまった。労働参加率は65.5%と、2011年序盤以来の高水準を記録した。

10月の就業者数は7800人増に上方改定された。

内訳では、フルタイム就業者数が4万1900人増加。2016年11月以降の増加幅は30万4600人に達した。

発表を受けて豪ドルの対米ドル相場<AUD=D4>は0.7673米ドルに上伸し、11月上旬以来の高値を付けた。

豪準備銀行(中央銀行)は、堅調な雇用情勢が賃金と物価の伸び加速につながることを期待しているため、今回の統計は中銀にとって望ましい内容となった。

ただ、金利先物市場<0#YIB:>では19年初めまで利上げを完全には織り込んでおらず、当面は利上げが見送られるとの市場の見方が示された。

コムセックの上級エコノミスト、ライアン・フェルスマン氏は「労働市場には依然としてスラック(需給の緩み)があり、賃金を押し上げるにはさらなる雇用の伸びが必要」と指摘。

就業者数は堅調に伸びているが、賃金の伸びは依然として弱く、消費支出とインフレを抑制している。

フェルスマン氏は「賃金の伸びに関する謎を解明しない限り中銀は利上げをできない」とし、「政策金利は少なくとも来年終盤まで据え置かれるだろう」と述べた。

中銀は11月に公表した四半期金融政策報告でインフレ率見通しを下方修正し、基調インフレ率が目標レンジ(2─3%)下限に達するのは2019年初め以降になるとの予想を示した。8月時点では2017年後半に2%前後に到達すると見込んでいた。

賃金伸び率は2.0%で、インフレ率の1.8%をわずかに上回る程度。既に大きな負債を抱える消費者の購買力をそいでいる。

豪百貨店最大手マイヤー・ホールディングス<MYR.AX>は14日、クリスマス前の客足が低迷しているため、上半期の利益が前年を大きく下回るとの見通しを示した。