[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した11月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%上昇し、前月の0.1%上昇から伸び率が拡大した。市場予想と一致した。ガソリンの値上がりが全体を押し上げた。一方で医療費や衣料費は下がり、基調的な物価圧力は抑制された。

11月の値上がりが加速したことで前年同月比は2.2%上昇に戻った。10月は2.0%上昇だった。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比0.1%上昇。10月の0.2%上昇から伸び率が縮小した。11月は航空運賃や家庭用雑貨が値下がりした。前年同月比は1.7%上昇と、10月の1.8%上昇から減速した。

コアCPIが減速したことは、2日目を迎える連邦公開市場委員会(FOMC)の議題に上がる可能性が高い。一部の米連邦準備理事会(FRB)当局者は、ここ数カ月間みられた物価の抑制要因が一時的なものではないかもしれないと懸念している。

MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「物価上昇が経済の発展に重要だと考えているFRB当局者にとり、今回のCPI統計は支援要因となるものではなかった」と指摘。ただ12日発表された卸売物価指数(PPI)は広範の項目にわたり値上がりし、いくぶん安心材料となったとみられる。

FRBが物価の目安として注目する個人消費支出(PCE)物価のコア指数は、目標とする2%を5年半近く下回り続けている。ただFRBはこの日、利上げすると見込まれている。労働市場が引き締まり景気が良くなる中、当局者はいずれ物価の上昇圧力が増すとみている。FRBは今年2度利上げしており、2018年は3回利上げする見通しを示している。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク州)の首席米国エコノミスト、ジム・オサリバン氏は、今回のCPI統計について「今回のFOMCで利上げを断念するほど弱くはない」と指摘。ただ「FOMC声明のトーンのタカ派的な傾向は弱まる可能性がある」との見方を示した。

11月の前月比の内訳は、ガソリンが7.3%上昇し、10月の2.4%下落からプラスへ転じた。食品は2カ月連続で横ばいだった。賃貸家賃は2カ月連続で0.3%上昇した。帰属家賃は0.2%上昇。10月は0.3%上昇していた。医療サービスは0.1%下落。うち診察費は0.8%下落した。衣料は1.3%の値下がり。1998年9月以来の大幅下落だった。