例年どおり今年も、インスピレーションとエネルギーに最も満ちあふれていたのは、ビジネスや金融に関する本だった。
逆境、経済的自由、リーダーシップ
わたしは何十年も前から、自己啓発を目的とする「ハウツー」本を読み漁ってきた。特に『積極的考え方の力』(邦訳:ダイヤモンド社)をはじめとする10冊には、それなりの価値があると確信している。
だが、ここ最近のわたしは、それらに対する興味を失ってしまっている。その大半が、同じメッセージやアイデアをリサイクルしているにすぎないからだ。
成功者へのインタビューにもとづく自己啓発書が伝えるのは、同じような人生の教訓を含んだ、同じような物語だ。「科学」にもとづく自己啓発書はたいてい、査読も行われていない単一の研究を中心として構成されており、往々にして当然の結果に一致するようにカスタムデザインされている。
個人の逸話にもとづく自己啓発書は大げさな回顧録であることが常で、その目的はコンサル会社や講演活動の宣伝だ。架空の物語を含んだ自己啓発書は、決まって陳腐だったり気取っていたりで、とても読めたものではない。
最後に、自己啓発書の多くがベストセラーになるのは(『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラーでさえ)、著者が代理人に金を払って、何千冊も事前に購入させるからだ。
とはいえ、新刊の自己啓発書にも、何らかの価値はあるにちがいない。でなければ、それらが読まれ、レビューされてはいないだろう。
というわけで、そうした点を念頭に置きつつ、2017年に広く買われ、読まれて、アマゾンで高い評価を獲得している(と思われる)自己啓発書を7冊ご紹介しよう。
ちなみに、7冊目の『Win Bigly』(ウィン・ビッグリー)は、他とは大きく一線を画している。この本はオリジナリティーにあふれており、かなり勇敢でもある。その主題は物議をかもすものだが、そうしたことはこのジャンルでは普通はお目にかかれない。
1. 『オプションB』
副題 『逆境、レジリエンス、そして喜び』
著者 シェリル・サンドバーグ、アダム・グラント(邦訳:日本経済新聞出版社)
30秒で読める概要 フェイスブックの最高執行責任者(COO)を務めるサンドバーグによる個人的洞察と、「逆境のさなかで強さを見つけること」に関する心理学者グラントによる目を見張るような研究が結びついている。
サンドバーグが、夫デイヴがジムの床の上に崩れ落ちたことを知るという衝撃的な場面で、本書は幕を開ける。サンドバーグはみずからの心と日記を開いて、夫の死によってもたらされた深い悲しみや疎外感を描写する。
次に本書は、サンドバーグが体験した喪失の枠を越えて、さまざまな人々がどのようにして苦難を乗り越えてきたのかを探求する。病気、失業、性的暴行、自然災害、そして戦争という暴力。彼らの物語が明らかにするのは、人間の精神に備わった、逆境に耐えて喜びを再発見できる能力だ
2. 『The 5 Second Rule』(5秒ルール)
副題 『Transform your Life, Work, and Confidence with Everyday Courage』(毎日の勇気で、あなたの人生と仕事、自信を一変させよう)
著者 メル・ロビンス
30秒で読める概要 ロビンスは、歴史や芸術、ビジネスにおける最も有名な場面から、習慣の科学や興味をひかれる物語、驚くべき事実を用いて、「プッシュモーメント(自分の背中を押して動く瞬間)」の力を説明する。
次に彼女は、ひとつの簡単なツールを読者に与える。それを使うことで、最高の自分になれるツールだ。このツールを使うのにかかる時間は、たったの5秒。そのたびに、あなたは素晴らしい仲間に恵まれることになるだろう。
800万人以上がロビンスの「TEDx Talk」を視聴しており、世界最大級ブランドの幹部たちも、生産性やコラボレーション、エンゲージメントの向上に、このツールを活用している。
3. 『Unshakeable』(揺るぎなきもの)
副題 『Your Financial Freedom Playbook』(経済的自由を手に入れるための戦術書)
著者 トニー・ロビンス
30秒で読める概要 金融界で世界最高の頭脳を持つ50人にインタビューを行い、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーで見事、第1位を獲得した『世界のエリート投資家は何を考えているのか、何を見て動くのか』(邦訳:三笠書房)を執筆したロビンス。その彼が、ステップ・バイ・ステップ式の戦術書をひっさげて帰ってきた。
ロビンスは本書で、読者の経済生活を一変させ、経済的自由への道のりを早めてくれる旅に案内する。給料がいくらか、人生のどの段階にいるのか、いつから始めたのかは関係ない。この本はあなたに、予想を上回るスピードで経済的目標を達成する力になるツールを授けてくれることだろう。
4. 『YOU ARE A BADASS もっと「自分のため」に生きていい!』
副題 『すると、才能、自信、お金……必要なものが必要なときにやってくる』
著者 ジェン・シンセロ(邦訳:三笠書房)
30秒で読める概要 この本を読めば、経済的成功をあなたの手の届かないものにしてきた恐れや障害を乗り越える力が得られるだろう。シンセロは「銀行口座が空っぽなまま、改修したガレージで暮らす女性」から「世界を豪勢に旅する女性」へと変貌を遂げた(しかも、たった数年で)。
自身が成し遂げた大変身を説明するシンセロは、ユニークでクールな姿勢と実用性が印象的で、それが本書をすばらしいベストセラーにした。笑える個人的なエッセイと収益のポテンシャルを解き放ち、リアルな成果につながる一口サイズの「アハ(なるほど)」コンセプトがうまく結びついている。
5. 『Captivate』(心をつかむ)
副題 『The Science of Succeeding with People』(人付き合いをうまくこなす科学)
著者 ヴァネッサ・ヴァン・エドワーズ
30秒で読める概要 エドワーズは人間行動ハッカーとして、われわれを動かす隠された力を研究するためのリサーチラボをつくり、そのコードを解読した。本書のなかで彼女は、職場や家庭など、さまざまな社交の場における人との交流を意のままにする近道やシステム、秘訣を披露している。
これらは、あなたが学校で学んだ社交術ではない。本書は、どんな人の心でもつかんでしまう方法についての科学に裏打ちされた総合的な実践マニュアルであり、人脈づくりのためのまったく新しいアプローチだ。
6. 『The Power of Positive Leadership』(ポジティブ・リーダーシップの力)
副題 『How and Why Positive Leaders Transform Teams and Organizations and Change the World』(ポジティブなリーダーはなぜ、どうやってチーム、組織、そして世界を変えるのか)
著者 ジョン・ゴードン
30秒で読める概要 著者ゴードンは、各界のリーダーたちと仕事し、意見を交換してきた。彼らは皆、会社や組織、学校に変革をもたらし、全国レベルで勝利してきた、世界を変えつつある人物だ。
またゴードンは、現代でもっとも偉大なリーダーたちの何人かに取材を行い、歴史上のポジティブなリーダーたちの研究も数多く行い、彼らの成功への道のりを発見してきた。
この先駆的な本のなかでゴードンは、彼が学んできたことを披露し、ポジティブ・リーダーシップに関する総合的なフレームワークを提供している。確かな原則、人の心をつかむ物語、実用的なアイデア、そして実践方法に満ちた本書を読めば、ポジティブなリーダーになるためのヒントが得られるだろう。
7. 『Win Bigly』(ウィン・ビッグリー)
副題 『Persuasion in a World Where Facts Don't Matter』(事実なんてどうでもいい世界での説得力)
著者 スコット・アダムス
30秒で読める概要 『ディルバート』の作者として知られる漫画家のアダムスは、最も早くからトランプの勝利を予言していた著名人のひとりだった。
彼がそう予言したのは、選挙予測で高い的中率を誇る統計学者のネイト・シルバーが自身のブログ「FiveThirtyEight」で、トランプが勝つ見込みは2パーセントと述べた1週間後のことだった。
主流メディアはトランプをもの珍しがり、一種の余興とみなした。だが、アダムスはトランプのなかに、一世代に一度しかお目にかかれないほどの説得力を認めていた。トランプが正しいか間違っているか、良いか悪いかということは問題ではなかった。
本書は、政治の枠を越えて、いかなる状況でも効果を発揮しうる説得のためのツールを考察する。アダムスは、数十年前にアップルに投資した際に、スティーブ・ジョブズのなかにもこれと同じツールを見たのだ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Geoffrey James、翻訳:阪本博希/ガリレオ、写真:PeopleImages/iStock)
©2017 Mansueto Ventures LLC; Distributed by Tribune Content Agency, LLC
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.