[北京 11日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が発表した11月の新規人民元建て融資は1兆1200億元(1692億7000万ドル)と、前月から急増し、アナリストの予想を大幅に上回った。

前月は6632億元、ロイターがまとめたアナリストの予想は8000億元だった。

これを受けて1─11月の新規融資は12兆9400億元となり、金融システムのリスク低減に向けた政府の取り組みにもかかわらず、過去最高だった2016年の12兆6500億元を超えた。

ただ一部のエコノミストは、政府主導の「リスク回避」で総信用の伸びは鈍化するとみている。キャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、ジュリアン・エバンスプリチャード氏は、総信用の伸び鈍化は先月強まったとし、これによる景気への圧迫がいずれ新たな金融緩和につながるとの見方を示した。

人民銀のデータに基づくロイターの算出によると、大半が住宅ローンである家計向け融資は11月は6205億元となり、前月の4501億元から増加した。

新規融資全体に対する家計向けの割合は55%となり、前月の68%から低下した。

企業向け融資は5226億元で、前月の2142億元から急増した。

財通資産管理のアナリストは、「堅調な企業需要で予想を上回った。特に中長期の企業・家計融資が急激に伸びた」と指摘。当局によるオフバランス融資への規制強化で正規の銀行融資が伸びているほか、企業の起債が難しくなっていることも要因との見方もある。

11月のマネーサプライM2伸び率は前年比9.1%で、市場予想(8.9%)を上回った。10月は1996年の統計開始以来の低水準となる8.8%だった。

11月末時点の人民元建て融資残高は前年比13.3%増加した。市場予想は13.0%増だった。

11月の社会融資総量は1兆6000億元(2418億2000万ドル)、10月は1兆0400億元だった。

ロイターの算出によると、シャドーバンキングを通常構成する信託融資、委託融資、割引なしのバンカーズアクセプタンス(BA)は、11月に1730億元と前月の1070億元から増加した。

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