(Bloomberg) -- 日本銀行の黒田東彦総裁は、地域金融機関が直面する問題に「極めて注目している」とした上で、金融システム安定のために日銀として「できることは何でもやる」と語った。7日、都内で行った講演後の質疑応答で答えた。

黒田総裁は、地域金融機関は低金利環境下で人口、企業数の減少という「共通の構造的な問題」に直面しており、店舗数や従業員数に過剰感が生じ、金融機関間で競争が激化していると指摘。中長期的には「多くの金融機関の損失吸収能力が失われるリスクも否定できない」と語った。

処方箋としては、金融仲介サービスの差別化や効率化を図るなど、「それぞれの強みを生かした取り組みを進めて収益性を改善させることが重要だ」とし、経営効率化の観点から「経営統合も重要だ」と述べた。その上で、金融システムの安定は物価の安定とともに「日銀の重要な政策課題」と強調した。

また、日銀による指数連動型投資信託(ETF)の購入については「資産市場のリスクプレミアムへの働きかけを通じて経済、物価にプラスをもたらすという観点から実施している」と説明。2%の物価目標のための必要性も踏まえながら「適切に判断する」とした上で、現時点では「引き続き必要と考えている」と述べた。

黒田総裁は先月、スイス・チューリヒで行った講演で、行き過ぎた低金利が金融仲介機能を阻害し緩和効果をそぐ可能性があるリバーサル・レートに言及。長期金利引き上げに向けた布石との見方が市場の一部に浮上したが、4日の講演では、現在の長短金利操作で金融システムに問題は生じていないとの見方を示した。

(4段落にETF購入に関する発言を追加しました.)

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