[東京 30日 ロイター] - 経済産業省が30日発表した10月鉱工業生産指数速報は前月比0.5%上昇となった。かろうじて増産となったが、当初の企業生産計画を大幅に下回ったほか、ロイター事前予測の1.9%上昇をも下回った。生産水準自体は高めを維持しているものの、出荷が2カ月連続で減少し在庫が積み上がり気味となっている。それでも企業の先行き計画は機械や電子部品などで強気で、受注拡大に自信を持っている様子がうかがえる。

10月の生産は前月比で2カ月ぶりの上昇、前年比でも12カ月連続の上昇で、指数水準は7─9月平均を上回る103.0となった。ただ生産計画と比較すると3.8%下回っており、最近ではこのかい離は、熊本地震の際などにみられたような大幅な下振れに匹敵するという。9、10月と出荷が減少していることなどが要因とみられる。そのため、在庫水準は前月比3.1%上昇、前年比でも17カ月ぶりに上昇に転じた。

一部自動車メーカーの検査不正問題は全体にはそれほど影響していないと経済産業省では分析しているが、今月は輸送機械の上昇幅は前月比0.7%と小幅にとどまっている。

先行き生産計画は、11月が前月比2.8%上昇、12月が同3.5%の上昇と強めの見通しとなっている。特に一般機械は従来と比べても非常に強めの計画で、受注見通しが立っているもよう。電子部品・デバイスも11、12月ともに強めだ。経済産業省では誤算などを調整した試算として11月は0.1%の低下を予想しており、計画自体はやや高すぎるとみている。

経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」として据え置いた。

*内容を追加しました。

(中川泉)