[ワシントン 27日 ロイター] - 米上院の税制改革法案を巡り、上院予算委員会の共和党メンバー2人が27日、反対する可能性を示したことで、本会議での採決実施が不透明になってきた。

上院予算委員会の共和党メンバーであるロン・ジョンソン議員とボブ・コーカー議員は、28日に開かれる同委員会で法案に反対する可能性があると述べた。共和党指導部は、同委員会での承認を経て早ければ30日にも本会議での採決に持ち込みたい考えだった。

財政規律を重視するコーカー氏は、減税による財政赤字の膨張を防ぐ措置を盛り込むよう求めており、ジョンソン氏はパススルー企業に対する控除拡大を主張している。

23人で構成する上院予算委員会で共和党の人数は民主党を1人上回っているだけだ。

同委員会が28日に法案を承認すれば、共和党は「財政調整法」と呼ばれる仕組みを利用して単純過半数で法案を可決できる。この仕組みを活用できなければ、定数100のうち60票の賛成が必要になり、民主党による可決阻止が可能になる。

27日時点で、共和党は上院での法案可決に必要な賛成票を確保できていないもようだ。

これより先、トランプ米大統領は共和党上院議員らをホワイトハウスに呼び、税制改革法案の可決に向けて協議した。

大統領は、上院財政委員会のオリン・ハッチ委員長と委員ら5人と協議。会合前にツイッターで、税制改革法の最終案への支持を訴えた。「『減税法案』の協議は順調で、多くの支持を得ている。わずかな変更によって、中間層と雇用主が受ける恩恵がさらに増える」と述べた。

議会の財政アナリストは、同案によって連邦政府の赤字が10年で1兆4000億ドル拡大するとみている。

議会両院税制合同委員会(JCT)は、審議期間が短いため税制改革案を十分に分析する時間はないとした上で、同案によって国家の債務が20兆ドル増えるとの見通しを示した。

また、JCTと議会予算局(CBO)は、医療保険制度改革法(オバマケア)で定められている個人加入義務の撤廃を盛り込んだ税制改革法案が可決される場合、2027年までに保険未加入者が1300万人増加するとの見通しを示している。

*内容を追加しました。