(Bloomberg) -- 「どうもどうも、きょうはバリスタで皆さんにコーヒーを差し上げます・・」。ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」がお出迎え。外食産業などで人手不足感が広がる中、注文から提供までをすべてロボットがこなすカフェの実証実験が、東京・原宿駅前の店舗で始まった。 

顧客はペッパーからの問い掛けに答える形で画面にタッチし、コーヒーの種類や濃さ、量などを指定。直ちに2本の腕を持つ別のロボットがコーヒーメーカーを操作して抽出したコーヒーを顧客に差し出す。注文から提供までは約2分30秒。ペッパーは顧客の好みも覚えてくれる。

ネスレ日本とソフトバンクロボティクス、川崎重工業の3社が連携し16日から26日までの期間限定で「ネスカフェ 原宿」に特設エリアを開設した。主役はペッパーのほか人の腕と似た動きが可能な川重の「デュアロ」とネスレのコーヒーマシン「バリスタ50」。外食などサービス産業での人手不足という課題を視野に入れた試みだ。

ネスレ日本飲料事業本部の島川基部長は「サービス産業では人手不足問題は今後もっと大きな課題となるはず」と話す。川重ロボットビジネスセンター営業企画部の真田知典部長は、今後デュアロが活躍する余地は大きいとみて取り組みを強化する方針を示した。「ロボットには人間のような動きを再現する役割も求められているのではないか」と話し、同産業で「接客向けに活用するのは初めて」と述べた。

人との共生の道探る

ソフトバンクロボティクスの事業開発統括部の角田友香部長は、ロボットはますます人々の生活に溶け込んでくるだろうと見通している。その上で「どのように人と共生するのか、また人のサービスをロボットがどう補うのが最適なのか見極める必要がある」と指摘。今回の実験では特に接客データの収集に期待したいと語った。

SBI証券の雨宮京子シニアマーケットアドバイザーは、「ロボット活躍の場が増えるのは自明で、介護や物流、防犯など多くの分野で利用価値は高まってくるだろう」と分析。こうした観点から「ロボットの裾野を広げる形で販路を拡大しようとする川重の取り組みは機械メーカーにも刺激を与える」などと述べた。

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