(Bloomberg) -- 米連邦議会の下院は16日、共和党がまとめた税制改革法案を可決した。法人税率引き下げや大部分の個人の税負担軽減などが盛り込まれた同法案は、向こう10年で財政赤字を1兆4000億ドル(約158兆2000億円)増加させると見込まれている。

税制改革法案の下院通過は法人・個人減税を目指すトランプ大統領の取り組みにおいて重要な節目となるが、共和党の広範にわたる税制計画が米経済を大きく変化させるにはまだ課題が残っている。上院はこれとは別に独自案を審議しているが、可決に必要な賛成票を確保できるかなお不明だ。

下院は税制改革法案を賛成227、反対205で可決。13人の共和党議員が反対票を投じた。1人を除き反対議員の全てが、州・地方税の控除廃止の条項から最も打撃を受ける高税率州の選出議員だった。

ライアン下院議長は本会議での採決前に「わが国の今後を決める瞬間だ。ここでわれわれがやろうとしていることは、今後の税制を決めるだけでなく、今後の国の在り方を決めることになる。この法案の下ですべての所得層で平均的世帯には減税になる」と述べた。

ただ、税制改革法案による多くの恩恵を高額所得層が受け、一部の中間所得層は実際には税負担が増すとの分析もある。反対票を投じた共和党議員13人のうち、5人はニューヨーク州、4人はニュージャージー州、3人はカリフォルニア州の選出議員だった。3州は州・地方税控除の利用者が多い。

ホワイトハウスのサンダース報道官は下院の採決後、「簡潔かつ公正で競争力ある税制がわが国の経済を飛躍させる原動力となる。それが手の届くところまできた」とのコメントを発表した。

原題:House Passes Tax Bill in First Step Toward Historic Overhaul (2)(抜粋)

(下院議長やホワイトハウス報道官の発言を追加して更新します.)

--取材協力: Erik Wasson

東京 守護清恵 kshugo@bloomberg.net.

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