【夏野×塩野】EV化でクルマがもっと自由になるためには
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週末まで開催されていた東京モーターショーでも、EV化がキーワードでしたし、NewsPicksがプロデュースした6日間連続トークライブでも、自動運転の先にあるサービスの話題が中心テーマの1つでした。
その中で、メルセデスが提唱したCASE戦略はもはやメルセデスだけでなく業界のスタンダード的な言葉になっています。今後ますます注目です。まあメルセデスsponsored記事なので、これでも良いのですが、流行りモノの話題が散りばめてあるだけで、なんだかなという感想をつい思ってしまったのも事実。
現実の生活者の多くは、「ワクワクするようなモビリティエクスペリエンス」なんかよりも、安くて便利なものを求めていると思います。
EVシフトを誰も予測出来なかったのは、英国・仏国、欧州カーメーカーが好き好んでEVシフト(の喧伝)しているわけではないからというのがあると思います。
とは言え兆候は結構前からあって、メルセデスがCASEと言い始めたのは昨年ですし、アイシンAWも昨年に「EHV技術部」と「EHV先行開発部」を設置して電動化のための体制を整えています。英国のシンクタンク「チャタムハウス」でも、昨年に欧州政府がEVに舵を切るという議論が行われていました。Bloomberg New Energy Financeは今年に入ってEV関連のレポートを乱発し、IEAはEV Outlookを出版。スタンフォードのTony SebaはRethink Xレポートを発表し、日本のエネ研では今年の早い段階で今年度の年次レポートのテーマはEVと決めていたといいます。
ただ、メディアがここまで大騒ぎする(ほど愚か?)だとは予測できませんでしたが、、、。
私はむしろ、こうして世の人が「EV化」という文字を過剰に目にすることの負の影響として、「逆EVショック」なるものを懸念しています。特に自動車部品メーカーが、EV化を過度に懸念して設備投資を控えてしまうリスク(特に欧州部品メーカー)があります。
地に足の着いた議論がもっと広まるといいなと思います。
大袈裟に言えば、内燃機関の自動車産業が国内にあることは、中間層の存在そのものであり、社会秩序や民主政と密接な関係にあると思います。そうした、産業政策、雇用問題、金融政策、物流問題、税制、財政、国際的な石油供給などの問題を無視した議論は、どうしても軽く感じてしまいます。モビリティエクスペリエンスは、単なるコンテンツ以上の存在です。
また今度、「EV化」に関する講演会やる予定ありますし、メディアに寄稿する予定もありますので、ご参考に。なんか軽いなぁ、と思いました。
新しいお話が無いのが残念。そろそろ具体的にどうしていくべきなのか、という提言を真剣に考える必要があろうかと思います。