サイモン・シネックは、すべての人が満足できる仕事に就くべきだと考えている。ただし、すぐに辞表を提出すべきだと考えているわけではない。

仕事に満足感を得られないとき

人生は難しい選択だらけだが、刺激を与えてくれない仕事を辞めるかどうかは、最も苦痛を伴う選択の一つかもしれない。
もしあなたが経済的に厳しい状況にあったら、どのような仕事であっても無職よりはマシだと思うだろう。あるいは、もし今の仕事が毎日あなたを疲弊させているのであれば、より良い仕事を探すためのエネルギーが残されていないかもしれない。
では、どうすればよいのだろうか?
ベストセラー『WHYから始めよ!─インスパイア型リーダーはここが違う』(邦訳:日本経済新聞出版社)の著者で、すべての人が満足できる仕事に就くべきだと考えるサイモン・シネックは、慎重になる必要はなく、できるだけ早く辞めるべきだと断言している。
ただしシネックは、TED講演者がアイデアを共有するブログに10月13日付で興味をそそる記事を投稿している。それによれば、実際の意見はこれほど単純ではないようだ。
「仕事を辞めるチャンスはいつでもある。ただし、あらゆる手を尽くしてから辞めることをお勧めする」
シネックは具体的な方法として、満足感の得られない仕事を辞める前に、10段階の思考プロセスを踏むよう助言している。これから紹介する10段階のプロセスは概要にすぎない。詳細を知りたい人は、シネックの記事を読んでほしい。

辞める前にあらゆる手を尽くす

1. もし上司や職場環境が虐待的であれば、今すぐ仕事を辞めるべきだ。
2. もし上司や職場環境が虐待的でなく、仕事に就いて数カ月しか経っていないのであれば、辞表の提出は待ったほうがいい。
「どのような人でも、仕事に慣れるまでには6カ月くらいかかる」とシネックは警告している。
3. もし仕事に就いて6カ月が経過しているのであれば、何が間違っているのかを考えてみたほうがいい。
真っ先に疑うべきは、あなた自身の態度だ。「多くの人が『仕事はあくまで仕事。満足感は別の場所で得ればいい』という態度で働いている。つまり、中途半端な気持ちで仕事をしており、献身的でないということだ。つまり、仕事は単なる目的達成の手段なのだ。そのような人がどう扱われるかを想像してみてほしい」とシネックは述べている。
4. 別の可能性を考えてみよう。
あなたの態度に問題がなければ、何が問題なのだろう? 職務だろうか? 同僚だろうか? それとも、上司だろうか?
5. もし上司が気難しいのであれば、少し共感を示してみよう。
もちろん容易なことではないが、シネックによれば、効果的な場合が多いという。
「もし上司が会議中に、いつにまして気難しく、怒鳴りちらしたり短気だったりしたら、会議の後で上司のオフィスを訪ね、扉を閉めてから次のように言ってみよう。『今朝の会議ではご立腹だったようですが、何かありましたか?』。このように声をかければ、心を開いてくれるかもしれない」
6. 上司を、問題の種ではなく人として扱おう。
「もう一つできることがある。それは、上司を人として扱い、次のような提案をすることだ。『今日の会議ではまず、この週末に何をしたかを話すことにしませんか?』」。こうしたアイデアを提案しているのはシネックだけではない。
7. もし効果がなければ、あなた自身が理想のリーダーになってみよう。
「あなたは職場で最も下の立場にあるかもしれないが、それでも、誰かと一緒に働いていることは確かだ。同僚たちが満足感を得て家路につくことを目標にしてみてはどうだろう? 話を聞いてくれる人がいる、助けてくれる人がいると感じてもらう努力をするのだ」
8. これらのプロセスは一夜にして成し遂げられることではないと理解しよう。
シネックは「時間のかかるプロセスだ」と強調している。
9. もしそれでも辞める意思が固いのであれば、不満を漏らさず、自身の成長にエネルギーをつぎ込もう。
不平を言っても、あなたの成長にはつながらない。難題だらけかもしれないが、時間は生産的に使ったほうがいい。「毎日、不平ばかり言わなくても、仕事に取り組む方法はいくらでもある。仕事の利点や、学ぶことのできる教訓を探してみよう」
10. 「及第点」の仕事で妥協してはいけない。
まだ満足感を得られないのであれば、辞めるための行動を起こそう。「家族や友人と過ごす時間や、何かほかのことをする時間より、仕事に使う時間のほうが多い。だから、本当に好きな仕事に就くべきだ」とシネックは締めくくっている。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Jessica Stillman、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:PhotoProdra/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.