[ワシントン 19日 ロイター] - 米上院は19日、2018会計年度(17年10月─18年9月)予算の大枠となる予算決議案を賛成51、反対49の僅差で可決した。上院の過半数を握る共和党が単独で税制法案を通過させる環境が整った。

予算決議が認める減税を実施すれば、今後10年間で財政赤字が最大で1兆5000億ドル拡大することになる。

共和党のマコネル上院院内総務は可決を受け「不平等な税制の負担を強いられてきた米国市民に、強く必要とされる救済措置をもたらせる方向に進んでいる」と述べた。

ただ民主党がトランプ政権の税制改革案に反対する可能性は高く、バーニー・サンダース上院議員は採決前、「非常に大きな所得格差が広がっている時に、この案は上位1%に1兆9000億ドルの減税を実施することになる」と批判した。

下院は先に独自の予算決議案を可決しているが、上院通過の法案との違いが大きいため、トランプ大統領の署名を得る前に両院案をすり合わせる必要がある。共和党側によると、交渉には最大2週間かかる可能性がある。

下院案は歳入中立の税制改革を呼び掛け、貧困層への食料支援を含む義務的プログラムへの歳出を2030億ドル削減する措置と減税を同一の法案に盛り込んでいる。一方、上院案はエネルギー・天然資源委員会に向こう10年間で少なくとも10億ドルの節減を指示する内容。

共和党の上院議員は、医療保険制度改革(オバマケア)改廃案を成立させられなかったことから、税制改革を成功させる強い圧力に直面している。

税制法案の通過には民主党議員の賛成が必要となる可能性は低いものの、トランプ大統領は18日、金融委員会のメンバーとの会合で民主党上院議員6人の支持を模索した。

ただ、会合に出席した民主党のロン・ワイデン上院議員は、民主党が大統領の税制改革案について、富裕層が恩恵を受け、一部中間層の税を引き上げ、連邦赤字を増大させると考えていると大統領に伝えた、と述べた。

*内容を追加しました。