[12日 ロイター] - 米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の第4回会合が11日に始まった。トランプ米大統領は以前からNAFTAに反対の立場を取っており、米国がより有利な条件を求めたことで協議は緊迫している。

再交渉における主な対立点は以下の通り。

<サンセット条項>

ロス米商務長官は、協定を5年ごとに見直す「サンセット条項」の追加を求めると述べた。条項が導入された場合、3カ国全てが更新に同意しなければ、協定は5年後に自動的に廃止となる。

カナダ、メキシコ、米商工会議所はいずれも、投資家に確固たる見通しを与えるのが通商協定の重要な意味合いだとして、この条項に懐疑的だ。

<現地調達率>

米国は北米で製造される自動車について、米国製部品の調達率を50%以上とし、3カ国からの調達率を85%以上とするよう求めている。

現協定では3カ国を合わせた調達率が62.5%以上が義務付けられている。カナダ、メキシコおよび自動車業界は、米国が提唱するように調達率を厳格化すれば、メーカーは生産拠点をほかに移したり、価格の安いアジア製部品の購入に動くと警告している。

<紛争解決メカニズム>

米国は、紛争解決のための第19条の廃止を求めている。第19条は、違法な補助金やダンピング(不当廉売)を審査し、拘束力のある判断を示す2国間パネルの設置を規定している。

19条は米国の主権を侵害しているというのが米政府の主張。カナダは、19条は見直しが可能だが、再交渉後のNAFTAに紛争解決メカニズムを組み込むべきだとの立場だ。メキシコも紛争解決メカニズムは協定の重要な要素であり、投資家保護に役立っていると主張している。

<数量割当枠>

NAFTAは乳製品や砂糖など複数の農産物について数量割当枠を設けている。しかし米政府は米国の農産物輸出に対する非関税障壁の撤廃を要求している。

<バイアメリカン>

米国はカナダとメキシコに対して、政府調達制度を米国製品に対して解放するよう迫っているが、同時に政府調達で米国製品を優先購入する「バイアメリカン条項」を守ろうとしている。

<生鮮食品>

米国は中小の農家が反ダンピング手続きを利用しやすくすることにより、フロリダ州やジョージア州の果物・野菜農家を保護する方策を模索している。一方、メキシコはこうした動きは自由貿易に反するとみている。

<メキシコのエネルギー市場>

メキシコのグアハルド経済相は先週、米国がメキシコ国有エネルギー会社とのディールを手掛ける企業に新たな制約を設ける提案をしたことを批判した。メキシコは2014年にエネルギー部門を開放し、これまでに少なくとも600億ドルの投資を呼び込んだとしている。