[ロンドン 10日 ロイター] - ダイヤモンドが、ついに投資家の「最善の友」になる──。資金の安全な避難先として、金のライバルになり得る「標準化」されたダイヤモンドを10日発表したシンガポールダイヤモンド投資取引所(SDIX)は、その意義をこう説明した。

ダイヤモンドは世界で最も濃縮された富の形態と言われているが、投資家は長年、投資先としては金よりも利便性が低いと評価してきた。一粒一粒状態が異なり、評価が主観的になりがちで、トレードが難しいためだ。

SDIX創設者のアラン・バンデンボーレ氏は、新技術でこの問題を解決することに成功し、ダイヤモンドは今後「新たな金」になると話す。

シンガポール・ダイヤモンド・ミント(造幣所)が作る「ダイヤモンド・ブリオン」は、投資グレードのダイヤモンドのコレクションで、評価額を素早く確認できる仕組みになっている。

額面は、当面は10万ドル(約1120万円)と20万ドルの間で設定されるが、将来的にはより低額や高額の額面も作られる可能性があるという。

これら投資用ダイヤモンドは、クレジットカード大の容器に収納されており、取り付けられたチップによって即座に市場取引価格に基づく評価額や、本物のダイヤかどうかの確認ができるという。合成ダイヤモンドは再販価値がないため、本物確認は不可欠だ。

デビアス傘下の国際ダイヤモンド鑑定研究所が作った認証マークもダイヤモンド・ブリオンに付けられており、二重の保証となっている。

生産額で最大手のデビアスは、ダイヤの鑑定に使われる道具の開発でも業界をリードしているが、これまで伝統的に、サイトホルダーと呼ばれる一定数の信頼できる相手にしかダイヤを販売してこなかった。

ダイヤの取引は、徐々に開放されつつある。

デビアスは2008年、ダイヤ原石のオンライン・オークションを開始。今年6月には、研磨済みダイヤのオークションも始めている。

2016年に設立されたSDIXは、投資グレードのダイヤモンドを扱う世界初で唯一の電子取引所を標榜している。

ダイヤモンド生産者は、基本的に「ダイヤモンド・ブリオン」の登場を歓迎している。

「ダイヤモンドの価格に透明性をもたらせるのなら、良いことだ」と、シエラレオネに鉱山を持つステラー・ダイヤモンズ<STELD.L>のカール・スミソン最高経営責任者は話した。