オフィス・デポは今回の買収について、オフィス用品を売る従来の小売業者からビジネスサービスおよびテクノロジーの販売業者になるための最初の一歩と表現している。オフィス・デポの現状は売上見通しが厳しい状態にある。

「テクノロジー・キオスク」を開設

オフィス用品を販売するオフィス・デポは、企業顧客にテック系サービスを提供するビジネスに進出することにより、疲弊した小売業界の低迷から回復できると考えている。ただし、株価の動きは低迷している。
フロリダ州ボカラトンを拠点とするオフィス・デポはこのほど、コンピュコム・システムズ(CompuCom Systems)を10億ドルで買収することで合意した。オフィス・デポはこれにより、企業顧客に対してテック系サービスを販売するためのプラットフォームを手に入れたことになる。
一方でオフィス・デポは、10月3日に業績見通しを下方修正し、回復策が喫緊に必要とされていることを改めて浮き彫りした。この下方修正により、同社株価は時間外取引で最大12%下落した。
オフィス・デポは今回の買収について、紙やペン、ホチキスなどを売る従来の小売業者から、ビジネスサービスおよびテクノロジーの販売業者になるための最初の一歩と表現している。
オフィス・デポは同社の1400店舗において、コンピュコムが運営する「テクノロジー・キオスク」を開設する計画だ。また、コンピュコムの現在の顧客に対して、従来からのオフィス用品を提供する計画もある。

成長の失速、切実な起爆剤の必要

1987年創業のコンピュコムは、クライアント企業における510万人を超えるユーザーに対して、ソフトウェア面およびハードウェア面の支援を提供している。オフィス・デポによれば、コンピュコムは約6000人の資格を持つ技術者を雇用しており、この分野では北米最多の従業員数だという。
オフィス・デポはコンピュコム・システムズを、未公開の株式投資会社であるトーマス・H・リー・パートナーズから買収する。
この買収契約には、買収ターゲットの負債を返済することと、新規株式の発行も盛り込まれている。買収取引が完了すれば、トーマス・H・リーは、オフィス・デポ株式の8%を所有することになる。
オフィス・デポは、切実に起爆剤を必要としている。売上の成長が失速し、直近の四半期には楽観できる材料は見られなかった。
同社が10月3日に述べたところによれば、このところ相次いだハリケーンと新学期の開始の遅れが業績を圧迫しているという。同一店舗の売上は、第3四半期に5~6%減少する見込みだ。また、同四半期の営業利益は、1億2500万~1億3500万ドルになると見られている。
オフィス・デポによる今回の業績見通し発表を受け、同社の株価は時間外取引で4.05ドルまで下落した。2017年に入ってから3日の取引終了までは、株価は1.5%上昇していた。

「テクノロジーは、未来のオフィス用品だ」

オフィス・デポは、ステープルズによる買収合併案が頓挫した2016年以来、立て直し策を模索している。
ステープルズとの取引がアメリカの規制当局に阻止されてからは、国外部門の売却や、店舗の閉鎖により経費を削減してきた。そうした動きは、採算を維持するうえでは効果があったものの、オンラインでの競争や全般的な小売業の低迷が、利鞘に打撃を与えている。
一方のステープルズは2017年6月、投資ファンドのシカモア・パートナーズに69億ドルで買収されることで合意に達した。
オフィス・デポのジェリー・スミス最高経営責任者(CEO)は、パソコン大手レノボ・グループの最高執行責任者を経て、2017年2月にオフィス・デポに加わった。
スミスCEOは10月3日の声明のなかで「テクノロジーは、未来のオフィス用品だ」と述べている。「今日は、重要な節目となる日だ」
オフィス・デポはコンピュコムの買収後、最初の1年で利益が増加し始めると期待している。オフィス・デポは、新規の借り入れと約4500万株の普通株発行により、買収資金を調達する計画だ。
今回の買収により、2年以内に売上がおよそ11億ドル増加し、4000万ドルのコストを削減できると見込まれている。また、オフィス・デポは相乗効果を狙い、コンピュコムのサービスをオフィス・デポの顧客に販売する計画だ。
今回の買収では、ゴールドマン・サックス・グループがオフィス・デポのアドバイザーを、ワクテル・リプトン・ローゼン・アンド・カッツが法律顧問を務めた。コンピュコムの法律アドバイザーは、ワイル・ゴッチェル・アンド・マンジスが務めた。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Nick Turner記者、翻訳:梅田智世/ガリレオ、写真:wdstock/iStock)
©2017 Bloomberg News
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.