[東京 26日 ロイター] - 日本郵政<6178.T>の2次売却株の取り扱いを巡り、東証が異例の対応を迫られた。TOPIX<.TOPX>を算出するための浮動株比率の変更時期について、10月末としたプレスリリースを発表後すぐに撤回。原則通り、受け渡し日の9月29日時点に修正した。パッシブ資金の流入が先送りになることに伴う需給悪化の懸念に配慮する格好となった。

日本郵政株の2次売却における売り出し価格は25日午後、1株1322円に決定した。同日夕、東証は「株価指数算出上の取り扱い」と題したリリースを発表。2次売却分(追加売り出しを含め9億9009万9100株)について、指数の算出に用いる「指数用上場株式数」に追加する日時を10月31日にすると発表した。

最大1.4兆円という売り出し規模の大きさを考慮し、十分な周知期間が必要との判断だった。

政府保有株の売り出し時の扱いについて、東証指数算出要領では「東証が定めた日」に指数用株式数の変更を行うと記載されている。原則的には受け渡し日とされているが、10月31日にしても規則上は問題がない。とはいえ、1カ月間の周知期間の設定は東証にとって初めての対応だ。

政府放出株が指数用株式数に追加されると、指数を算出する際に用いる日本郵政株の浮動株比率が高まる。市場筋の推計によると、同比率の変更に伴い日本郵政株に流入するTOPIX連動型パッシブ資金は700億円規模という。

パッシブ型投信連動の資金流入が1カ月先送りになれば、同社株は政府株の売り出しよって一時的に需給が悪化することになる。「強烈とは言わないまでも、株価には当然マイナスの影響が出る」(ネット系証券)という。このため、東証の発表後、市場では需給悪化を懸念する声が噴出した。

9月29日時点での指数株式数追加を見込んでいた運営会社の一部が、トラッキング・エラーを恐れ、東証側に再考を促したとの観測も出ている。

結局、東証は同日すぐに発表を撤回、株式の追加時期を9月29日にすると訂正した。

東証によると、リリース発表後に運用会社や主幹事を含めた証券会社から、すでに指数修正日を、算出要領上の原則に基づき9月29日となると想定して動いているとの連絡があったという。「例外的な対応で発生するインパクトの方が大きいことが分かった。われわれとマーケットの認識の差があった」と説明している。

(長田善行、小澤美穂 編集:伊賀大記)