[フィレンツェ 22日 ロイター] - メイ英首相は22日、イタリアのフィレンツェで欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)方針を巡り演説し、離脱後2年間の移行期間を設け、EU単一市場へのアクセスを維持することを提案した。

同時に移行期間中、EUに対し拠出金を支払うほか、英国におけるEU市民の権利を保障する方針を表明し、譲歩する姿勢を明示した。ただ具体的な拠出金の額や離脱交渉の停滞を招いている離脱費に言及はなく、EU側の期待に沿うほどの内容とはならなかった。

メイ首相は30分間にわたる演説で、離脱交渉の失敗で恩恵を受けるのは反自由貿易派のみとし、滞っている交渉の打開を訴えた。

首相は企業や市民の懸念を踏まえ、「移行期間中は現行と同じ条件で相互の市場へのアクセスを継続すべき」と語った。拠出金については「EU加盟期間中の財政上の約束は果たす」と言明した。

この日の演説に先立ち、複数メディアはメイ首相が200億ユーロの拠出金を支払うことを明示する可能性があると報じていたものの、具体的な額には言及しなかった。

EUのバルニエ首席交渉官はメイ首相の演説を「建設的な精神」と評価しつつも、「交渉における英政府の明確な立場」を示す一段の詳細が必要と語った。

他のEU高官もメイ首相の演説を受け「懸念が一層深まった」と語った。

金融市場では演説を受け、ポンドが下落。対ドル<GBP=D3>では一時0.5%、対ユーロ<EURGBP=D3>では約0.7%それぞれ下落した。

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