【新】内村、羽生…。現代人に必須の「疲労回復」の新流儀

2017/9/20

「休養」は現代人のたしなみだ

日本人はとかく「休養」を取るのが下手だ──。
パソコンやスマホを通じて、24時間365日オンライン状態が続く、現代のビジネスパーソンにとって、実は一番戦わないといけない相手は、「疲労」だ。
疲労回復のための「リカバリーウェア」を手がけるベンチャーであるベネクスは、科学的な観点から、現代人の「疲労回復」をサポートするビジネスを展開し、今、急激に業績を伸ばしている。
元々は、誰もが知るトップアスリートたちの疲労回復を促進するウェアとして知名度を上げたが、今はビジネスパーソンの「休養」をいかに手助けするかにも注力、近年、ナイキやアンダーアーマーも参入してきたこの市場の牽引役となっている。
デジタル時代の我々は、いかなる形で「疲労」から解放されるべきなのか。ベネクスの中村太一社長に直撃した。インタビューを全3回でお届けする。
中村太一(なかむら・たいち)/ベネクス社長
1980年生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、老人ホームの運営会社を経て、2005年にベネクスを創業。2009年に投入した疲労回復のための「リカバリーウェア」がヒットし、スポーツの日本代表選手が愛用。2013年にドイツの世界最大のスポーツ用品見本市で「革命的なスポーツギア」と評され、最高賞を獲得。今は、スポーツだけでなく、ビジネス層向けの商品も投入している。

ゴールドジムで爆発ヒット

──まず、最初になぜ、「リカバリー(疲労回復)」という分野に乗り出されたのか。その経緯からお伺いしたいのですが。
今は、「リカバリーウェア」という事業をやっているのですが、私は大学を卒業して、老人ホームを運営する会社で働いていまして、最初からリカバリーに注目していたわけではありませんでした。
で、介護の現場で、課題に感じた「床ずれ」の予防をするため、マットレスを開発したというのが、一番最初のきっかけなんです。
ただ、それは事業的には、全くうまくいかなかったのですが、たまたま開発した素材の糸を使ったウェアを展示会に出品したところ、フィットネスで有名な「ゴールドジム」のバイヤーさんが注目してくれたんです。
もともと僕の提案としては、ヘルパーさんが夜勤とかのハードワークで、かなり離職率が高いことから、「ヘルパーさんのケアにこのウェアが使えるんじゃないか」とにらんで、展示会で出したんですが、介護業界からの反応は全く芳しくありませんでした。
そんな時に、ゴールドジムのバイヤーの方が、マッチョな方たちがエクササイズをやりすぎて、「身体がボロボロで、実はもう体がお年寄りみたいな体になっている」というので、お声がけいただいたんです。
それで色々なお話をさせて頂いてわかったんですが、ちょうどそのときが、スポーツ業界の大きなトレンドの変化のタイミングだったんですね。

運動、栄養はあるのに、休養がない